「come about」は英語でよく使われる句動詞(phrasal verb)の一つで、日本語では主に「起こる」「生じる」「発生する」と訳されます。シンプルな表現ながら、様々な文脈で使われる便利なフレーズです。
この記事では「come about」の基本的な意味から実際の使い方、類似表現との違いまで、例文を交えながら詳しく解説していきます。
「come about」の基本的な意味
「come about」には主に以下の3つの基本的な意味があります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
起こる、生じる、発生する(happen, occur)
最も一般的な意味は「事が起こる」「何かが生じる」というものです。
特に、どのようにして何かが起きたかを尋ねたり説明したりする際によく使われます。
例文
- How did the misunderstanding come about?
(どうしてその誤解が生じたのですか?) - The collaboration between the two companies came about through a chance meeting.
(その2社の協力関係は偶然の出会いから生じました。) - No one knows exactly how the tradition came about.
(その伝統がどのように生まれたのか正確に知っている人はいません。)
船が方向を変える(change direction – nautical term)
専門的な航海用語として、「船が方向を変える」「船が回る」という意味があります。
特に、船が風上へ向きを変える際に使われます。
例文
- The captain ordered the ship to come about to avoid the rocks.
(船長は岩を避けるために船の方向を変えるよう命じました。) - We had to come about quickly when we spotted the approaching storm.
(接近する嵐を発見したとき、私たちは素早く船の向きを変えなければなりませんでした。) - The sailboat came about smoothly despite the strong current.
(強い潮流にもかかわらず、そのヨットはスムーズに方向を変えました。)
風が方向を変える(for wind to change direction)
上記の航海用語に関連して、「風が変わる」という意味でも使われます。
例文
- The wind came about from north to east during the night.
(風は夜の間に北から東へと変わりました。) - We waited for the wind to come about before continuing our journey.
(旅を続ける前に、風の向きが変わるのを待ちました。) - The weather forecast predicted that the wind would come about by evening.
(天気予報では、風は夕方までに向きが変わると予測されていました。)
「come about」の文法と使い方
「come about」は自動詞的な句動詞として使われ、通常は目的語を取りません。
主に以下のような文脈で使われます。
疑問文で「どのようにして~が起きたか」を尋ねる
「come about」はよく「how」と一緒に使われ、何かが起きた経緯や原因を尋ねる疑問文でよく見られます。
例文
- How did your interest in photography come about?
(写真への興味はどのようにして生まれたのですか?) - Could you explain how this situation came about?
(この状況がどのようにして生じたのか説明していただけますか?) - I wonder how the idea for this festival came about.
(このフェスティバルのアイデアがどのようにして生まれたのか不思議です。)
「~の結果として起こる」「~によって生じる」
「come about as a result of」や「come about because of」などの表現で、何かが起きた原因や理由を説明する際に使われます。
例文
- The economic crisis came about as a result of poor financial regulations.
(その経済危機は不十分な金融規制の結果として発生しました。) - Their friendship came about because of a shared interest in classical music.
(彼らの友情はクラシック音楽への共通の興味から生まれました。) - The changes in policy came about through years of public pressure.
(その政策の変更は何年もの世論の圧力によって実現しました。)
時制の使い方
「come about」は様々な時制で使うことができます。
例文(現在形)
- These things usually come about gradually.
(こういったことは通常徐々に起こります。)
例文(過去形)
- The opportunity came about unexpectedly.
(そのチャンスは予期せぬ形で訪れました。)
例文(現在完了形)
- How has this situation come about?
(この状況はどのようにして生じたのでしょうか?)
例文(未来形)
- Changes will come about slowly.
(変化はゆっくりと起こるでしょう。)
「come about」を含む一般的な表現
「come about」を含むよく使われる表現をいくつか紹介します。
「How did/does it come about that…?」(どうして~ということになったのか?)
例文
- How did it come about that you became the manager?
(どうしてあなたは管理職になったのですか?) - How does it come about that so many people believe this myth?
(どうしてこんなに多くの人がこの神話を信じているのでしょうか?)
「come about naturally/inevitably」(自然に/必然的に起こる)
例文
- The collaboration came about naturally as both teams had similar goals.
(両チームは似たような目標を持っていたため、協力関係は自然に生まれました。) - This development came about inevitably due to technological advances.
(この発展は技術的進歩により必然的に生じました。)
「bring about」(~を引き起こす、もたらす)
「come about」の使役形として「bring about」があります。
こちらは他動詞的に使われ、「~を引き起こす」「~をもたらす」という意味になります。
例文
- The new policy aims to bring about positive changes in the education system.
(その新政策は教育システムに前向きな変化をもたらすことを目指しています。) - Their efforts brought about significant improvements in community health.
(彼らの努力はコミュニティの健康に重要な改善をもたらしました。)

「come about」と類似表現の違い
「come about」と似た意味を持つ表現はいくつかありますが、微妙にニュアンスが異なります。
「come about」と「happen」「occur」
「happen」や「occur」も「起こる」という意味ですが、「come about」はより過程や発展を強調する傾向があります。
「どのようにして」という経緯に焦点が当たることが多いです。
例文
- The accident happened suddenly.
(その事故は突然起きました。)- 単に事実として起きたことを述べている - The accident came about because of poor visibility.
(その事故は視界不良によって生じました。)- どのように/なぜ起きたかという経緯を強調
「come about」と「develop」
「develop」も状況の発展を表しますが、より段階的な変化や成長のプロセスを強調します。
例文
- His interest in science developed during high school.
(彼の科学への興味は高校時代に発達しました。)- 段階的な発展 - His interest in science came about after visiting a research lab.
(彼の科学への興味は研究所を訪問した後に生まれました。)- きっかけや経緯を強調
「come about」を使った会話例
会話例1:友人の新しい趣味について
例文
- A: I heard you’ve started learning the guitar. How did that come about?
(ギターを習い始めたと聞いたよ。どうしてそうなったの?) - B: It came about after I attended a folk music festival last summer. I was so inspired by the performances.
(去年の夏にフォークミュージックフェスティバルに参加した後に始めたんだ。演奏にとても感銘を受けたんだよ。) - A: That’s interesting! Sometimes new passions come about in unexpected ways.
(面白いね!新しい情熱って時々予想外の形で生まれるものだね。)
会話例2:仕事での変化について
例文
- A: I’m surprised by the new direction our project is taking. How did this change come about?
(プロジェクトの新しい方向性に驚いています。この変更はどのように生じたのですか?) - B: It came about as a result of the feedback we received from customers last month.
(先月顧客から受けたフィードバックの結果として生じました。) - A: I see. These kinds of adjustments often come about when we listen to our users.
(なるほど。このような調整はユーザーの声に耳を傾けるとよく起こりますね。)
まとめ:「come about」の使い方のポイント

「come about」は英語で「起こる」「生じる」という意味を持つ便利な表現です。
この表現の主なポイントをまとめると:
- 基本的な意味は「起こる」「生じる」「発生する」です。
- 航海用語としては「船が方向を変える」「風が変わる」という意味もあります。
- 「how did it come about?」のような形で、何かが起きた経緯や原因を尋ねる際によく使われます。
- 「come about as a result of」「come about because of」などの形で、何かが起きた理由を説明できます。
- 使役形の「bring about」は「~を引き起こす」「~をもたらす」という意味になります。
- 「happen」「occur」と比べると、より過程や発展を強調する傾向があります。
「come about」をマスターすれば、英語で物事の発生や変化についてより自然に表現できるようになるでしょう。
日常会話からビジネスシーンまで幅広く使える便利な表現なので、ぜひ活用してみてください。