「enough to」は英語でよく使われる表現の一つで、日本語では「〜するのに十分な」「〜できるほど十分な」などと訳されます。
シンプルな表現ですが、使い方を正確に理解することで、英語での表現の幅が広がります。
この記事では「enough to」の基本的な意味から実際の使い方、類似表現との違いまで、例文を交えながら詳しく解説していきます。
「enough to」の基本的な意味
「enough to」の基本的な意味は「〜するのに十分な(量・程度)」です。
「enough」は「十分な」「必要なだけの」という意味を持ち、後に続く「to+動詞の原形」で「〜するのに」という目的や結果を表します。
何かが目的を達成するために必要な基準や量に達していることを示します。
例文
- The coffee is hot enough to drink now.
(コーヒーは今飲むのに十分熱いです。) - She is old enough to make her own decisions.
(彼女は自分で決断するのに十分な年齢です。) - We have enough food to feed everyone at the party.
(パーティーの全員に食べさせるのに十分な食べ物があります。)
「enough」の文法と位置
「enough to」を理解するには、まず「enough」の基本的な文法と位置を知ることが大切です。
「enough」は使い方によって、品詞と文中での位置が変わります。
形容詞や副詞の後ろに置く場合(副詞としての用法)
「enough」が副詞として使われる場合、形容詞や副詞の後ろに置かれます。
これは英語の副詞の一般的な位置(形容詞の前)とは異なる特徴です。
例文
- The soup is hot enough to burn your tongue.
(そのスープは舌をやけどするほど熱いです。) - The music was loud enough to disturb the neighbors.
(その音楽は隣人を邪魔するほど大きかったです。) - He didn’t speak clearly enough to be understood.
(彼は理解されるほど明確に話しませんでした。)
名詞の前に置く場合(限定詞としての用法)
「enough」が限定詞として使われる場合、名詞の前に置かれます。
例文
- We don’t have enough money to buy a new car.
(新しい車を買うのに十分なお金がありません。) - There wasn’t enough time to finish the project.
(プロジェクトを終わらせるのに十分な時間がありませんでした。) - Do you have enough information to make a decision?
(決断するのに十分な情報がありますか?)
「enough to」の様々なパターン
「enough to」は様々な文法パターンで使われます。
主なパターンをいくつか見ていきましょう。
形容詞 + enough + to + 動詞の原形
これは「enough to」の最も一般的なパターンの一つです。
形容詞が表す状態や性質が、後に続く行動をするのに十分であることを示します。
例文
- The box is big enough to hold all my books.
(その箱は私の本をすべて入れるのに十分な大きさです。) - Are you brave enough to try bungee jumping?
(バンジージャンプに挑戦するほど勇敢ですか?) - The stairs weren’t wide enough to carry the furniture up.
(その階段は家具を運び上げるのに十分な幅がありませんでした。)
副詞 + enough + to + 動詞の原形
副詞が表す方法や程度が、ある行動をするのに十分であることを示します。
例文
- She arrived early enough to get a good seat.
(彼女は良い席を確保するのに十分早く到着しました。) - He didn’t run fast enough to catch the bus.
(彼はバスに間に合うほど速く走りませんでした。) - Can you speak loudly enough to be heard in the back row?
(後列でも聞こえるほど大きな声で話せますか?)
enough + 名詞 + to + 動詞の原形
この形は、ある目的を達成するために十分な量の何かがあることを示します。
例文
- Do we have enough ingredients to make a cake?
(ケーキを作るのに十分な材料はありますか?) - There aren’t enough chairs to seat everyone.
(全員を座らせるのに十分な椅子がありません。) - I need enough courage to speak in public.
(人前で話すのに十分な勇気が必要です。)
肯定文と否定文での「enough to」
「enough to」は肯定文と否定文の両方で使うことができますが、意味合いが少し変わることがあります。
肯定文での使用
肯定文では、基準を満たしているか超えていることを示します。
例文
- The coffee is warm enough to drink.
(そのコーヒーは飲むのに十分温かいです。) - She is skilled enough to handle the project alone.
(彼女はプロジェクトを一人で扱うのに十分なスキルを持っています。) - We arrived early enough to get good seats.
(私たちは良い席を確保するのに十分早く到着しました。)
否定文での使用
否定文では、基準に達していないことを示します。
例文
- The water isn’t hot enough to make tea.
(その水はお茶を入れるのに十分熱くありません。) - He isn’t experienced enough to lead the team.
(彼はチームを率いるのに十分な経験がありません。) - We didn’t practice enough to win the competition.
(私たちはコンペティションに勝つのに十分な練習をしませんでした。)
「enough to」と「too … to」の比較
「enough to」と対照的な表現として「too … to」があります。
これらは似ていますが、意味は反対です。
- 「enough to」:基準を満たしている、または超えている(〜するのに十分な)
- 「too … to」:基準を超えていて否定的な結果になる(〜するには多すぎる)
例文
- The coffee is hot enough to drink.
(そのコーヒーは飲むのに十分熱いです。) - The coffee is too hot to drink.
(そのコーヒーは飲むには熱すぎます。) - She is old enough to drive a car.
(彼女は車を運転するのに十分な年齢です。) - She is too young to drive a car.
(彼女は車を運転するには若すぎます。) - The bag is light enough to carry easily.
(そのバッグは簡単に持ち運べるほど軽いです。) - The bag is too heavy to carry easily.
(そのバッグは簡単に持ち運ぶには重すぎます。)
「enough to」を含む一般的な表現
「enough to」を含むいくつかの一般的な表現を見てみましょう。
「… enough to know better」(もっと分別があるはず)
例文
- You’re old enough to know better than to lie to your parents.
(あなたは両親に嘘をつくべきではないとわかるほど年齢を重ねています。) - He should be experienced enough to know better than to make such a basic mistake.
(彼はそのような基本的なミスをしないと分かるほど経験があるはずです。)
「… enough to make you …」(〜するほど十分な)
例文
- The movie was scary enough to make me jump several times.
(その映画は何度も飛び上がるほど怖かったです。) - Her story was sad enough to make everyone cry.
(彼女の話は全員を泣かせるほど悲しいものでした。)
「fortunate/lucky enough to」(〜する幸運に恵まれている)
例文
- I was fortunate enough to meet my favorite author at the book signing.
(私は本の署名会で好きな作家に会うという幸運に恵まれました。) - They were lucky enough to get tickets for the sold-out concert.
(彼らは完売したコンサートのチケットを手に入れるという幸運に恵まれました。)
「enough to」の使い方のポイント
「enough to」を使う際のいくつかの重要なポイントを見てみましょう。
「enough」の位置に注意する
「enough」は形容詞や副詞の後ろに置き、名詞の前に置くという特殊な配置ルールがあります。
例文
- She speaks English well enough to work as a translator.
(彼女は翻訳者として働けるほど十分に英語を話します。) - We have enough water to last for three days.
(私たちには3日間持つ十分な水があります。)
「for」と「to」の違いを理解する
「enough for」と「enough to」は異なる使い方をします。
「enough for」は人や物に対する十分さを表し、「enough to」は行動や目的に対する十分さを表します。
例文
- This pizza is big enough for four people.
(このピザは4人に十分な大きさです。) - This pizza is big enough to feed four people.
(このピザは4人を食べさせるのに十分な大きさです。) - Is the coffee hot enough for you?
(そのコーヒーはあなたにとって十分熱いですか?) - Is the coffee hot enough to enjoy properly?
(そのコーヒーは適切に楽しむのに十分熱いですか?)
まとめ:「enough to」の使い方のポイント

「enough to」は英語で「〜するのに十分な」という意味を持つ便利な表現です。
この表現の主なポイントをまとめると、
- 基本的な意味は「〜するのに十分な(量・程度)」です。
- 形容詞や副詞の後ろ、名詞の前という特殊な位置に「enough」を置きます。
- 「形容詞/副詞 + enough + to + 動詞の原形」または「enough + 名詞 + to + 動詞の原形」の形で使います。
- 肯定文では基準を満たしていることを、否定文では基準に達していないことを示します。
- 「too … to」とは反対の意味を持ちます。
- 「enough for」は人や物に対する十分さを、「enough to」は行動や目的に対する十分さを表します。
「enough to」をマスターすることで、英語での表現の幅が広がります。
十分さや能力について話す際に、ぜひ積極的に使ってみてください。