「TOEIC何点を目標にすればいいのだろう?」「自分のスコアはどのレベル?」「何点から履歴書に書けるの?」こんな疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。TOEICは990点満点の試験ですが、英検のような級の区分がないため、自分のスコアが実際にどの程度の英語力を示しているのか分かりにくいものです。
本記事では、TOEIC点数を100点刻みで区分し、それぞれのレベルで「できること」「評価される目安」「対策法」までを詳しく解説します。初めてTOEICを受ける方から、スコアアップを目指している方まで参考にしていただける内容になっています。
TOEICスコアの基本知識

TOEICスコアについて理解するためには、まずテストの基本的な仕組みを知ることが大切です。ここではTOEICテストの概要から点数の特徴、平均点まで基本的な情報を解説します。
TOEICは「Test of English for International Communication」の略称で、ビジネスシーンで必要とされる英語力を測定するためのテストです。特に「聞く」「読む」の2技能に焦点を当てた「TOEIC Listening & Reading Test」が一般的に「TOEIC」と呼ばれています。

TOEICの点数システムとその特徴
TOEICは990点満点のテストで、リスニングセクション(495点満点)とリーディングセクション(495点満点)の合計点で評価されます。最低点は10点で、スコアは5点刻みで変動します。つまり、600点の次は605点、その次は610点というようになります。
特徴的なのは、単純に正答数に応じて点数が決まるわけではないという点です。TOEICの点数は統計的な処理が加えられて決定されています。これにより、試験回ごとの難易度の差を調整し、スコアの一貫性を保っています。

TOEICの平均点とスコア分布
2020年度のTOEIC平均点は620点で、リスニングが337点、リーディングが282点となっています。受験者の分布を見ると、500〜600点の範囲に約20%、600〜700点の範囲に約18%の受験者が集中しています。
このことから、500〜700点がTOEIC受験者の中で最も一般的なスコア帯と言えるでしょう。初めてTOEICを受ける方の多くは、まずこの平均点レベルを目指すことが多いようです。
TOEICスコア別レベルの目安一覧表
ここではTOEICスコアを7つのレベルに分け、それぞれのレベルにおける英語力の特徴や評価について詳しく解説します。自分の現在のレベルや目標レベルを確認する参考にしてください。
レベル | スコア | 英語力の目安 | 資格としての評価 |
---|---|---|---|
レベル1 | 400点未満 | 英語の基礎ができていない | 履歴書に書くと逆効果 |
レベル2 | 400〜500点 | 中学英語は理解できる | アピールとしては弱い |
レベル3 | 500〜600点 | 平均点レベル | 就活で最低ラインとして記載可 |
レベル4 | 600〜700点 | 上場企業の一般社員レベル | 履歴書に書いて有利になる |
レベル5 | 700〜800点 | 「英語ができる」と言える | 英語関連職種に応募可能 |
レベル6 | 800〜900点 | ビジネスレベルの英語力 | 英語を使う職種で有利 |
レベル7 | 900〜990点 | ネイティブに近い英語力 | 通訳・翻訳など専門職レベル |
それでは、各レベルについて詳しく見ていきましょう。
レベル1:400点未満の特徴と評価
TOEIC 400点未満の方は、英語の超初心者レベルといえます。このレベルでは、英語の基礎的な部分が定着していない状態です。
英語力の特徴
- 中学英語の基礎が定着していない
- 簡単な文でも7割近い単語がわからない
- リスニングはほとんど聞き取れない
- 英検3級レベル相当
このレベルのスコアは履歴書に記載すると逆効果になる可能性があります。まずは基礎力を高めることに集中しましょう。
対策アドバイス
TOEIC対策よりも、まずは中学英語の復習から始めましょう。中学・高校の英語を学び直すだけでも、400点程度は取れるようになります。無理にTOEIC用の参考書を購入するよりも、中学英語の基礎が学べる教材から始めるのがおすすめです。

レベル2:400〜500点の特徴と評価
TOEIC 400〜500点は、中学英語はある程度理解できているが、高校英語は曖昧なレベルです。大学入試を経験した高校生が大学入学後に受験した際に、最も多いスコア帯とも言われています。
英語力の特徴
- 中学英語は一通り理解できている
- 高校英語は部分的に理解できる
- 簡単な英語の読解はできる
- 英会話は単語レベルの会話しかできない
- 英検準2級レベル相当
このレベルのスコアは資格としてのアピール力はまだ弱いですが、500点は新卒社員に期待される最低ラインともいわれています。
対策アドバイス
600点を目指して基礎英語力を固めましょう。特に高校レベルの英単語や文法を復習することが効果的です。無理な長文読解よりも、基礎的な問題を数多くこなすことをおすすめします。

レベル3:500〜600点の特徴と評価
TOEIC 500〜600点は、TOEICの平均点(約580〜620点)に近いレベルです。全受験者の約20%がこのスコア帯に集中しています。
英語力の特徴
- 基礎的な単語の多くに「見覚えがある」状態
- 短めの文章なら理解できる
- 関係代名詞の省略など複雑な文法事項は苦手
- 英検2級レベル相当
新卒採用では「TOEIC 500点から記載可」としている企業もあり、就活などで少しずつ役立ち始めるレベルです。ただし、英会話力はまだ簡単な会話に留まります。
対策アドバイス
TOEICを受験するなら、最低でも目指したいレベルが500〜600点です。基礎力をしっかり固めながら、テクニックを活用して効率的に点数を伸ばしていきましょう。長文よりも文法でスコアを伸ばせる可能性が高いです。

レベル4:600〜700点の特徴と評価
TOEIC 600〜700点は、上場企業が一般社員に求めるスコアの平均レベルです。全受験者の約18%がこのスコア帯に位置しています。
英語力の特徴
- TOEICに手応えを感じられるようになる
- パートごとの得意・不得意が見えてくる
- 基本的な英語ならある程度理解できる
- 長文読解はまだ得意とは言えない
- 英検2級には合格するレベル
TOEIC 600点以上を取得すれば、就職や転職がかなり有利になります。履歴書にも堂々と書けるスコアです。
対策アドバイス
短文問題から長文問題へと学習内容をシフトさせていくと効果的です。自分の得意・不得意を把握し、戦略的にTOEICを解けるようになりましょう。この段階では、形式に慣れることも重要です。

レベル5:700〜800点の特徴と評価
TOEIC 700〜800点になると、「英語ができる」と言えるレベルになります。
英語力の特徴
- 日常的な内容であれば、ほぼ理解できる
- ビジネスシーンでの基本的なコミュニケーションが可能
- 自分の意見を簡単な英語で表現できる
- 英検準1級レベルに近づく
700点を超えると、ある程度「英語が使える」と評価されるようになります。英語を使う部署への配属や、英語を活用する職種への応募も可能になってきます。
対策アドバイス
このレベルからは、長文読解力と語彙力の強化が重要になります。また、時間配分を意識した解き方の練習も必要です。ビジネス英語や専門用語にも触れておくと良いでしょう。

レベル6:800〜900点の特徴と評価
TOEIC 800〜900点は、ビジネスレベルの英語力を持っていると評価されるレベルです。
英語力の特徴
- 複雑な内容でも理解できる
- ビジネスシーンでの高度なコミュニケーションが可能
- 専門的な内容も理解できる
- 英検準1級〜1級レベル
800点以上のスコアを持っていれば、実力・資格としても十分と評価されます。外資系企業や、英語を日常的に使用する職種でも十分通用するレベルです。
対策アドバイス
より高度で複雑な問題に取り組み、ビジネス英語や専門用語の習得を進めましょう。また、リスニング力をさらに向上させるため、ネイティブの話す自然な英語に触れる機会を増やすことも大切です。

レベル7:900〜990点の特徴と評価
TOEIC 900点以上は、ネイティブに近い英語力を持っていると評価される最高レベルです。
英語力の特徴
- ネイティブに近い英語力
- あらゆるビジネスシーンで英語を使いこなせる
- 高度な専門分野の内容も理解できる
- 英検1級レベル以上
このレベルになると、通訳や翻訳などの英語のプロフェッショナルとしての仕事も視野に入ります。外資系企業のマネジメント層や国際的な業務を行う職種でも高く評価されます。
対策アドバイス
このレベルを目指す人は、より実践的な英語の使用機会を増やし、専門性の高い分野の英語にも取り組むことをおすすめします。また、TOEICだけでなく、実際のビジネスシーンでの英語力も磨いていくことが重要です。
ビジネスにおけるTOEICスコアの活用方法
TOEICスコアは、就職や転職、昇進などビジネスシーンで様々な場面で活用されています。ここでは、企業がどのようにTOEICスコアを評価しているのかを解説します。

就職・転職で求められるTOEICスコア
多くの企業では、TOEICスコアを英語力の指標として採用活動に活用しています。業種や職種によって求められるスコアは異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
- 国内企業(英語をあまり使わない職種):600点程度
- 国内企業(英語を時々使う職種):700〜800点程度
- 外資系企業・国際部門:800点以上
- 英語を日常的に使う職種:850点以上
企業によっては、TOEICスコアを昇進や昇給の条件にしているところもあります。例えば、管理職になるためには700点以上必要といった形です。
業界・職種別に見るTOEICスコアの目安
業界や職種によって、必要とされるTOEICスコアは異なります。
IT・通信業界
- 一般職:600〜700点
- エンジニア(国際的なチーム):700〜800点
- グローバル人材:800点以上
製造業
- 一般職:600点程度
- 海外営業・調達:700〜800点
- 海外赴任者:800点以上
金融業界
- 一般職:650〜750点
- 国際部門:800点以上
- 外資系金融機関:850点以上
サービス業(ホテル・観光など)
- フロントスタッフ:700点程度
- インバウンド対応:750点以上
- マネジメント層:800点以上
各企業の実際の採用基準は公開されていないことも多いですが、上記は一般的な目安として参考にしてください。
スコアレベル別TOEIC対策法
TOEICのスコアを効率的に上げるためには、現在のレベルに合わせた対策が必要です。ここでは、スコアレベル別の効果的な学習方法を紹介します。
400点未満からのスコアアップ戦略
現在のスコアが400点未満の方は、TOEIC対策よりも英語の基礎力を固めることが先決です。
おすすめの学習法
- 中学英語の復習(基本文法と基本単語の習得)
- 高校英語の基礎部分の学習
- 簡単なリスニング教材で耳を慣らす
- TOEIC形式に慣れるための入門書を活用する
この段階では、TOEICの点数にこだわるよりも、着実に基礎力を固めることが大切です。中学・高校レベルの英語を一通り学び直すことで、400〜500点レベルへの到達を目指しましょう。
500点を目指す人の学習法
400〜500点を目指す方は、基礎を固めながらTOEIC形式に慣れていくことが重要です。
おすすめの学習法
- 高校英語の文法を完全に習得する
- TOEIC頻出単語(3000語程度)の学習を始める
- TOEIC公式問題集で形式に慣れる
- リスニングを毎日練習する習慣をつける
基礎的な文法問題を確実に解けるようになることで、リーディングセクションのスコアアップが期待できます。また、リスニングは毎日少しずつでも聞く習慣をつけることが大切です。
600点突破のための対策
500〜600点レベルの方が600点を突破するためには、より効率的な対策が必要です。
おすすめの学習法
- TOEIC頻出問題パターンを把握する
- 時間配分を意識した演習を行う
- Part 5, 6(文法・語彙問題)の正答率を上げる
- リスニングのディクテーション(書き取り)練習を取り入れる
この段階では、問題の傾向と対策を知ることで効率よく点数を上げることができます。特にPart 5, 6は比較的短時間で解けるため、ここでの得点率を上げることが重要です。
700点以上を目指す効率的な勉強法
600〜700点レベルの方が700点以上を目指すには、より高度な対策が必要です。
おすすめの学習法
- 長文読解力の強化(Part 7対策)
- ビジネス関連の語彙力の強化
- リスニングの速度に慣れるトレーニング
- 模擬試験で時間管理の練習を徹底する
この段階では、Part 7(長文読解)でのスコアアップが鍵となります。効率的な読解テクニックを身につけ、素早く情報を把握する練習を重ねましょう。また、ビジネス関連の語彙を増やすことも重要です。
800点以上のハイスコアを狙うテクニック
700点以上のレベルから800点以上を目指すには、さらに高度な対策が求められます。
おすすめの学習法
- 複雑な長文の速読トレーニング
- 専門的な語彙の習得
- ネイティブの自然な会話を聞き取る練習
- 弱点を徹底的に分析して克服する
このレベルでは、自分の弱点を正確に把握し、集中的に克服することが大切です。また、TOEICだけでなく、実際のビジネス英語や専門書などにも触れて、より実践的な英語力を磨いていくことも重要です。
TOEICの点数に関するよくある質問
ここでは、TOEIC受験者からよく寄せられる質問にお答えします。
- TOEICは何点から履歴書に書けますか?
-
一般的には600点以上あれば履歴書に記載する価値があるとされています。600点未満、特に500点未満の場合は、記載しない方が無難です。ただし、業界や職種によって基準は異なるため、応募先の求める英語レベルを確認することをおすすめします。
- TOEICの平均点はどのくらいですか?
-
2020年度のTOEIC平均点は620点(リスニング337点、リーディング282点)となっています。ただし、受験者の属性によって平均点は変動するため、参考値として捉えるとよいでしょう。
- TOEICのスコアはどのくらい有効ですか?
-
TOEICのスコアの有効期限は公式には2年間とされています。ただし、企業によっては3年や5年など、独自の基準を設けている場合もあります。最新のスコアを持っていることが望ましいですが、古いスコアでも英語力の参考値として活用されることがあります。
あわせて読みたいTOEICスコアの有効期限は2年?就職活動で履歴書に書けるのはいつまでか解説 TOEICスコアを取得した後、そのスコアはいつまで有効なのか、また就職活動の履歴書に記載できるのはいつまでなのかという疑問を持つ方は多いでしょう。特に「TOEICスコ… - 短期間でTOEICのスコアを上げるコツはありますか?
-
短期間でのスコアアップには、以下のような対策が効果的です。
- TOEIC形式に徹底的に慣れる(問題パターンの把握)
- 時間配分の戦略を立てる
- 得意パートを伸ばす集中対策
- 模擬試験で本番の感覚をつかむ
ただし、根本的な英語力を高めるには継続的な学習が必要です。短期間での対策は、あくまで現在の英語力を最大限に発揮するためのものと考えましょう。
まとめ

本記事では、TOEICスコアの目安について詳しく解説してきました。最後に重要なポイントをまとめます。
- TOEICの満点は990点(リスニング495点・リーディング495点)で、平均点は620点程度
- スコアレベルは以下の7段階に分けられる
- レベル1:400点未満(基礎ができていない)
- レベル2:400〜500点(中学英語は理解できる)
- レベル3:500〜600点(平均点レベル)
- レベル4:600〜700点(一般社員レベル)
- レベル5:700〜800点(英語ができるレベル)
- レベル6:800〜900点(ビジネスレベル)
- レベル7:900〜990点(ネイティブに近いレベル)
- 履歴書に書けるのは600点以上が目安
- レベルに合わせた対策が効率的なスコアアップにつながる
- 英語の基礎力がTOEICスコアアップの土台となる
TOEICスコアは単なる数字ではなく、実際の英語力を反映するものです。自分の目標や現在のレベルを把握し、適切な学習計画を立てることが大切です。コツコツと継続して学習を続けることで、必ず英語力は向上し、TOEICスコアも上がっていきます。
あなたもぜひ、この記事を参考にしながら、目標とするTOEICスコアの達成に向けて頑張ってください!