現代の食卓に欠かせない調味料として親しまれているケチャップですが、実は驚くべき歴史を持っています。19世紀のアメリカでは、ケチャップが薬として販売されていた時代があったのです。
この記事では、ケチャップの意外な過去から始まり、英語初学者の方にも分かりやすい食べ物に関するトリビアを紹介していきます。
普段何気なく使っている英語表現の背景にある面白い歴史や、食べ物に関連した英語のイディオムまで、幅広くお伝えします。
ケチャップの薬としての歴史

1834年、アメリカの医師ジョン・クック・ベネット博士は、トマトケチャップに医療効果があると主張し始めました。
当時のアメリカでは、トマトは毒があると信じられていましたが、ベネット博士はトマトに含まれるリコピンやペクチンなどの栄養成分に注目し、下痢や消化不良、黄疸などの治療に効果があると宣伝したのです。
ケチャップから錠剤へ
ベネット博士の主張が注目を集めると、彼はケチャップの濃縮エキスを錠剤にした「トマトピル」を製造し始めました。これらの薬は「Extract of Tomato(トマトエキス)」という名前で販売され、全国的な人気を博しました。
新聞広告では、様々な病気に効果があると謳われ、多くの人々がこの奇跡の薬を求めたのです。
薬ブームの終焉
しかし、トマトピルの人気が高まるにつれ、多くの模倣品が市場に出回るようになりました。これらの偽物の多くは、実際のトマト成分ではなく下剤を含んでいたり、骨の病気やビタミン不足まで治せると誇大な宣伝をしていました。
1850年頃には、科学者たちがベネット博士の主張に疑問を呈し始め、トマトケチャップの薬としての時代は終わりを迎えました。
その後、1876年にハインツ社が現在のトマトケチャップのレシピを完成させ、調味料としての地位を確立したのです。
食べ物の英語表現と語源
英語には食べ物に関連した興味深い表現がたくさんあります。
これらの表現を理解することで、英語学習がより楽しくなるでしょう。
基本的な食べ物の英語
まず、日常的によく使われる食べ物の英語から見ていきましょう。
| 日本語 | 英語 | 発音のポイント |
|---|---|---|
| ケチャップ | ketchup | 「ケッチャップ」 |
| トマト | tomato | アメリカ英語では「トメイト」 |
| ジャガイモ | potato | 「ポテイト」 |
| チョコレート | chocolate | 「チョコレット」 |
| サンドイッチ | sandwich | 「サンドウィッチ」 |
食べ物の語源トリビア
多くの食べ物の英語名には、興味深い語源があります。例えば、「sandwich(サンドイッチ)」は、18世紀のモンタギュー伯爵の名前に由来しています。
彼が24時間続くギャンブルの最中に、パンに具材を挟んで食べたことから、この名前が付けられました。
「ketchup(ケチャップ)」自体も、17世紀の中国語「kê-tsiap」という魚醤から来ています。これがマレー語の「kicap」を経て、最終的に英語の「ketchup」になったのです。
驚きの食べ物トリビア集
世界には私たちの常識を覆すような食べ物の事実がたくさんあります。
ここでは、英語学習にも役立つ興味深いトリビアを紹介します。
果物と野菜の意外な分類
植物学的な分類と私たちの認識には大きなギャップがあります。例えば、「strawberry(イチゴ)」は実は果実ではなく、「banana(バナナ)」の方が植物学的には果実に分類されます。
また、「avocado(アボカド)」や「watermelon(スイカ)」も実は果実なのです。
一方で、「rhubarb(ルバーブ)」は野菜として扱われることが多いですが、実際には果物として分類されます。
面白いことに、ルバーブは成長が非常に早く、暗い場所に置くとポキポキという音を立てながら成長するため、「聞こえる植物」として知られています。
チョコレートの歴史
「chocolate(チョコレート)」の歴史は非常に古く、アステカ帝国ではカカオ豆が通貨として使用されていました。マヤ人は「xocolatl(ショコラトル)」という苦い飲み物を作り、これが「神々の飲み物」と呼ばれていました。
16世紀のスペインの修道院では、チョコレートがあまりにも美味しすぎて修道士の修行の妨げになるという理由で禁止されたこともありました。
ハチミツの永続性
「honey(ハチミツ)」は驚くべき保存性を持っています。適切な条件下では3000年以上保存できるとされ、実際に古代エジプトの墓から発見されたハチミツが今でも食べられる状態だったという記録があります。
これは、ハチミツに含まれる過酸化水素と水分の少なさによるものです。
英語の食べ物イディオム
英語には食べ物を使った慣用表現(イディオム)がたくさんあります。
これらを覚えることで、より自然な英語表現ができるようになります。
よく使われる食べ物イディオム
以下は、英語初学者にも覚えやすい基本的な食べ物イディオムです。
- 「piece of cake」 – とても簡単なこと
例:The math test was a piece of cake.(数学のテストはとても簡単だった。) - 「spill the beans」 – 秘密を漏らす
例:Don’t spill the beans about the surprise party.(サプライズパーティーのことを秘密にしておいて。) - 「cool as a cucumber」 – 冷静沈着な
例:Even during the crisis, she remained cool as a cucumber.(危機的状況でも、彼女は冷静沈着だった。) - 「in a pickle」 – 困った状況にある
例:I’m in a pickle because I forgot my wallet.(財布を忘れて困っている。)
肉類に関するイディオム
- 「bring home the bacon」 – 生計を立てる
例:My father brings home the bacon for our family.(父が家族の生計を立てている。) - 「beef about something」 – 何かについて不平を言う
例:He’s always beefing about the weather.(彼はいつも天気について文句を言っている。)
食べ物の発音とスペリング
英語初学者にとって、食べ物の名前の発音やスペリングは特に難しい部分の一つです。
ここでは、よく間違えられる食べ物の英語を整理してみましょう。
よく間違えられるスペリング
| 正しいスペリング | よくある間違い | 意味 |
|---|---|---|
| barbecue | barbacue, barbeque | バーベキュー |
| broccoli | brocoli, brocolli | ブロッコリー |
| sandwich | sandwhich | サンドイッチ |
| dessert | desert | デザート |
| restaurant | restaraunt | レストラン |
「dessert(デザート)」と「desert(砂漠)」の違いは、「dessert」の方が「s」が2つあることで覚えられます。
「Sweet(甘い)」の「s」が2つあるから「dessert」も「s」が2つ、と覚える方法があります。
発音の注意点
国際的な食べ物の名前は、英語圏でも発音が変化することがあります。例えば、フランス語の「croissant(クロワッサン)」は英語では「cruh-sahnt(クラサント)」のように発音されます。
イタリア語の「lasagna(ラザニア)」は「luh-zan-yuh(ラザンヤ)」となります。
世界の食文化と英語表現
世界各国の食文化を英語で学ぶことで、国際的な視野を広げることができます。
イギリスの食文化
イギリスには独特の食文化があり、それに関連した英語表現も数多く存在します。
- 「pudding」 – イギリスではデザート全般を指す
- 「biscuit」 – クッキーのこと(アメリカの「biscuit」とは異なる)
- 「chips」 – フライドポテト(アメリカの「french fries」)
- 「crisps」 – ポテトチップス(アメリカの「chips」)
アメリカとイギリスの食べ物用語の違い
| 食べ物 | アメリカ英語 | イギリス英語 |
|---|---|---|
| フライドポテト | french fries | chips |
| ポテトチップス | chips | crisps |
| クッキー | cookie | biscuit |
| 炭酸飲料 | soda/pop | fizzy drink |
| キャンディ | candy | sweets |
現代の食べ物と健康に関する英語
現代では、健康志向の高まりとともに、食べ物に関する新しい英語表現も生まれています。
健康関連の食べ物用語
- 「organic food」 – 有機食品
- 「gluten-free」 – グルテンフリー
- 「superfood」 – スーパーフード
- 「plant-based」 – 植物由来の
- 「processed food」 – 加工食品
料理方法の英語表現
| 日本語 | 英語 | 説明 |
|---|---|---|
| 茹でる | boil | 沸騰したお湯で調理する |
| 蒸す | steam | 蒸気で調理する |
| 焼く | bake/grill/roast | オーブンで/直火で/オーブンで焼く |
| 炒める | fry/sauté | 油で炒める |
| 煮込む | stew | 長時間弱火で煮る |
食べ物の英語学習のよくある間違いと注意点
英語初学者が食べ物に関する英語を学ぶ際によく陥る間違いと、それらを避けるための注意点を説明します。
可算名詞と不可算名詞の混同
食べ物の英語では、可算名詞(数えられる名詞)と不可算名詞(数えられない名詞)の区別が重要です。
例えば、「bread(パン)」は基本的に不可算名詞ですが、「a loaf of bread(1斤のパン)」のように数える場合があります。
不可算名詞の例
- water(水)
- milk(牛乳)
- rice(米)
- sugar(砂糖)
- meat(肉)
可算名詞の例
- apple(リンゴ)
- egg(卵)
- cookie(クッキー)
- sandwich(サンドイッチ)
冠詞の使い方
食べ物の名前に冠詞(a, an, the)を付けるかどうかも初学者が混乱しやすい点です。一般的に、特定の食べ物について話す場合は「the」を使い、一般的な食べ物について話す場合は冠詞を付けません。
正しい例:「I like chocolate.(私はチョコレートが好きです。)」
間違い例:「I like a chocolate.」
複数形の作り方
食べ物の名前の複数形にも注意が必要です。「tomato」の複数形は「tomatoes」、「potato」の複数形は「potatoes」ですが、「photo」の複数形は「photos」となります。
文化的な違いへの理解
同じ食べ物でも、文化によって食べ方や意味が異なることがあります。例えば、アメリカでは「pancake」は朝食の定番ですが、イギリスでは「pancake」は薄いクレープ状のものを指すことが多いです。
食べ物トリビアに関するよくある質問
- ケチャップが薬として使われていたのは本当ですか
-
はい、1834年から1850年頃まで、アメリカでトマトケチャップが薬として販売されていました。ジョン・クック・ベネット博士が下痢や消化不良の治療薬として宣伝し、「トマトピル」として錠剤も製造されていました。
- なぜトマトは最初毒だと思われていたのですか
-
18世紀から19世紀初頭のヨーロッパやアメリカでは、トマトの赤い色が危険な毒性植物を連想させ、また富裕層が使っていた鉛入りの食器でトマトを食べると鉛中毒を起こすことがあったため、トマト自体が毒だと誤解されていました。
- 英語の食べ物イディオムはなぜ生まれたのですか
-
食べ物は人間の基本的な生活に密接に関わっているため、日常の経験や感情を表現するのに使いやすかったからです。例えば、「piece of cake」は、ケーキを食べることが楽しく簡単であることから「簡単なこと」を意味するようになりました。
- 食べ物の英語で最も覚えにくいのはどれですか
-
多くの学習者にとって、国際的な料理名の発音が最も困難です。特に、フランス語やイタリア語から借用された単語(croissant, bruschetta, gnocchiなど)は、英語話者も正確な発音に苦労することがあります。
- なぜ同じ食べ物でもアメリカとイギリスで呼び方が違うのですか
-
歴史的な言語の発展や文化的な違いによるものです。アメリカ英語とイギリス英語は別々に発展し、それぞれの地域で独自の表現が生まれました。また、移民や貿易により、異なる言語からの借用語が各地域で定着したことも理由の一つです。
まとめ

この記事では、ケチャップの薬としての驚くべき歴史から始まり、食べ物に関する様々な英語表現とトリビアを紹介してきました。
言語学習は単なる単語の暗記ではなく、その背景にある文化や歴史を理解することで、より深く豊かなものになります。
記事の主要ポイント
- ケチャップは1834年から1850年頃まで、アメリカで薬として販売されていた
- 多くの食べ物の英語名には興味深い語源や歴史的背景がある
- 英語の食べ物イディオムを覚えることで、より自然な英語表現ができる
- 食べ物の可算・不可算名詞の区別は英語学習の重要なポイント
- アメリカ英語とイギリス英語では同じ食べ物でも呼び方が異なることがある
- 国際的な料理名の発音は英語学習者にとって特に困難な部分
- 食文化の違いを理解することで国際的な視野が広がる
- 現代の健康志向により新しい食べ物関連の英語表現が生まれている
食べ物という身近なテーマを通じて英語を学ぶことで、日常会話でも活用できる実用的な知識を身に付けることができます。今回紹介したトリビアや表現を覚えて、英語でのコミュニケーションをより楽しく豊かなものにしていきましょう。
また、これらの知識は英語圏の人々との会話のきっかけにもなり、文化的な理解を深める助けにもなるでしょう。

