英語の多聴多読は効果あり？おすすめのやり方を徹底解説

英語学習を始めたばかりの方にとって、「どうやって効率的に英語力を高めればいいのだろう？」という疑問は尽きないものです。そんな中で注目されている学習法が「多聴多読」です。名前は聞いたことがあるけれど、具体的にどんな方法なのか、そして本当に効果があるのかを知りたい方も多いでしょう。

本記事では英語初学者の方でも実践できる多聴多読の基本から、具体的なやり方、おすすめの教材まで、最新情報を交えて詳しく解説します。英語力を効率的に伸ばすためのヒントをつかみましょう。

英語の多聴多読とは？初学者が知るべき基本概念

多聴多読とは、その名の通り「たくさん英語を聴く」「たくさん英語を読む」という学習方法です。従来の英語学習では文法規則の暗記や単語の詳細な意味理解に重点を置くことが多かったのに対し、多聴多読では英語に大量に触れることで自然と言語感覚を身につけていくアプローチを取ります。

これは子どもが母国語を習得する過程に似ており、より自然な形で英語を身につけられる点が大きな特徴です。

多聴と多読の定義と基本的な考え方

多聴とは、英語の音声をたくさん聴いて、大まかな内容を理解する練習です。具体的には、自分のレベルよりやや簡単な英語音声を選び、全ての単語や表現を完璧に理解しようとするのではなく、話の大筋を掴むことを目指します。

一方、多読は英文をたくさん読んで内容を把握する学習法です。ここでも重要なのは、一つ一つの単語や文法にこだわりすぎず、全体の流れを理解することです。辞書を頻繁に引かずに読み進め、量をこなすことを優先します。

どちらも「量」を重視する点が共通しており、初学者でも取り組みやすい学習法と言えるでしょう。

精読・精聴や聞き流しとの違い

多読・多聴をより深く理解するためには、似た学習法との違いを知ることも大切です。

精読とは、一つの文章を丁寧に読み込み、単語や文法を詳細に分析する方法です。一方多読では、完璧な理解よりも量を重視します。同様に、精聴は音声を何度も繰り返し聴いて細部まで理解することを目的としますが、多聴ではざっくりと内容を掴むことを重視します。

また「聞き流し」と多聴も異なります。聞き流しはBGMのように英語を流しておくだけの受動的な方法ですが、多聴は内容理解を意識しながら能動的に聴く学習法です。聞き流すだけでは効果は限定的で、常に「何の話をしているか」を意識することが多聴の重要なポイントなのです。

多聴多読が注目される理由

現在、多聴多読が注目されている理由はいくつかあります。まず、デジタル技術の発展により、これまでよりも格段に多くの英語コンテンツに簡単にアクセスできるようになりました。YouTubeやPodcast、電子書籍など、様々な形式の英語教材が手軽に利用できます。

また、英語教育の現場でも、文法知識だけでなく実践的なコミュニケーション能力の重要性が認識されるようになり、多聴多読のような自然な言語習得アプローチが見直されています。

さらに、学習者自身が興味のある内容を選べるため、モチベーションを維持しやすく、長期的な学習を続けやすいという利点もあります。

英語の多聴多読で得られる7つの効果とメリット

多聴多読を始めることで、どのような効果が期待できるのでしょうか。英語学習初心者にとって嬉しいメリットをご紹介します。継続的に取り組むことで、英語力の様々な側面が自然と向上していきます。

リスニング力と表現力の飛躍的な向上

多聴多読の最も明確な効果の一つが、リスニング力の向上です。英語の音声にたくさん触れることで、英語特有のリズムやイントネーションに耳が慣れ、以前は聞き取れなかった表現も次第に理解できるようになります。

また、多読で様々な表現パターンに触れることで、自然な英語表現が身につき、表現力も豊かになります。読んだ表現を覚え、それを自分の話す英語や書く英語に活かせるようになるのです。これは文法書だけでは得られない、リアルな英語表現力です。

英語脳の確立と理解スピードの向上

多聴多読を続けていくと、日本語に翻訳せずに英語をそのまま理解する「英語脳」が徐々に形成されます。英語の語順のまま情報を処理する能力が身につくと、英文を読んだり聞いたりするスピードが格段に向上します。

これは特に初学者には画期的な変化で、それまで単語ごとに日本語に変換していた処理が、英語のまま直接理解できるようになるのです。英語の語順通りに理解できると、リスニングの遅れも解消され、自然な会話のスピードについていけるようになります。

語彙力と文法の自然な習得

多読を続けると、同じ単語や表現が様々な文脈で繰り返し登場します。それによって、単語帳で暗記するよりも自然な形で語彙が増えていきます。文脈から単語の意味を推測する力も身につき、辞書に頼らずとも読み進められるようになります。

文法についても、ルールを覚えるというよりもパターンとして自然に身につきます。例えば、関係代名詞や仮定法といった複雑な文法事項も、繰り返し目にすることで次第に理解できるようになるのです。

継続しやすい学習スタイル

多聴多読の大きな利点は、他の学習方法に比べて継続しやすい点です。特に多聴は通勤・通学時間や家事をしながらなど、「ながら学習」が可能です。また、自分の興味のあるトピックを選べるため、学習自体を楽しむことができます。

従来の英語学習では細部の完璧な理解が求められがちでしたが、多聴多読では全体の把握を重視するため、分からない部分があっても気にせず先に進めます。この点が挫折しにくい要因となっています。

英語試験スコアへの好影響

多聴多読は英語試験対策としても非常に効果的です。TOEICやTOEFLなどの試験では、まさに「読む力」と「聞く力」が問われます。日頃から大量の英語に触れることで、試験特有の対策をしなくても自然とスコアアップが期待できます。

特にリーディングセクションでは、制限時間内に多くの文章を読み、理解する必要がありますが、多読で培った「素早く読み、全体を把握する力」がそのまま活きてきます。リスニングセクションでも、多聴で耳が英語に慣れていれば、試験特有の緊張感があっても冷静に聞き取ることができるでしょう。

初学者向け英語多読のおすすめのやり方

多読の効果が分かったところで、具体的にどのように始めればよいのでしょうか。初学者の方でも無理なく始められる多読のやり方をご紹介します。

最初は難しく感じるかもしれませんが、コツをつかめば誰でも取り組めるようになります。

自分のレベルに合った素材選び

多読を成功させる最大のポイントは、自分のレベルに合った教材選びです。理想は、知らない単語が全体の5％程度（20語に1語程度）で、内容の80％以上が理解できるレベルの教材です。これより難しいと、読むことが苦痛になり継続が難しくなります。

初学者であれば、絵やイラストが多く含まれる絵本や、英語学習者向けに書かれたグレイディッド・リーダー（難易度別の読み物）から始めるとよいでしょう。文字数も少なく、視覚的な助けもあるため、無理なく読み進められます。

また、自分の興味のある分野の本を選ぶことも重要です。例えば、ディズニー映画が好きな方なら「Disney Read-Alongシリーズ」など、自分が楽しめる内容を選びましょう。知りたい、読みたいというモチベーションがあれば、多少難しくても読み続けられます。

辞書を引かずに読み進めるコツ

多読の大原則は「辞書をあまり引かない」ことです。わからない単語があっても、文脈から推測して読み進めましょう。最初は不安に感じるかもしれませんが、これが多読の肝です。

特に日本人学習者は、わからないことをそのままにしておくことに抵抗がありますが、考える力を養うためにも、まずは前後の文脈から意味を推測する習慣をつけましょう。これはTOEICなどの試験でも辞書は使えませんので、実践的なスキルとなります。

どうしてもわからない単語で、話の流れを理解する上で重要だと感じた場合のみ、辞書を引くようにします。この判断も含めて、多読のスキルの一部です。

毎日続けるための工夫と習慣化

多読の効果を最大限に得るには、毎日少しずつでも読む習慣をつけることが重要です。1日10分や15分でも、毎日続けることで大きな差が生まれます。

スキマ時間を有効活用するのも良い方法です。通勤電車の中や昼休み、寝る前のひとときなど、日常の中で読書時間を見つけましょう。電子書籍なら、スマートフォンで手軽に読めるので特におすすめです。

また、読んだ本の数や読書時間を記録すると、自分の成長を実感できてモチベーションが維持しやすくなります。専用のアプリや手帳などを活用して、着実な進歩を可視化すると良いでしょう。

初学者向け英語多聴のおすすめのやり方

次に多聴について、初学者の方が無理なく始められる方法をご紹介します。「英語を聴く」と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、コツを押さえれば楽しみながら取り組めるようになります。

効果的な多聴の進め方

多聴を始める際も、自分のレベルに合った音源を選ぶことが重要です。初学者であれば、ゆっくりと明瞭に話される教材や、繰り返しの多いコンテンツがおすすめです。また、最初は文字も一緒に見られる教材（スクリプト付きや字幕付き）から始めると、内容理解がしやすくなります。

効果的な多聴のステップとしては、まず最初に音声を聴いて大まかな内容を掴みます。次に文字（スクリプトや字幕）を見ながら再度聴き、わからなかった部分を確認します。余裕があれば、最後にもう一度文字なしで聴いて、どれだけ理解できるか確認するとよいでしょう。

この3ステップを繰り返すことで、効率的にリスニング力を高めることができます。特に初学者は、最初は短い音源（1〜2分程度）から始めて、徐々に長いものにチャレンジしていくと良いでしょう。

聞き流しではなく内容理解を意識する

多聴で最も大切なのは、単に英語を流しているだけでは効果が薄いということです。音楽のように英語音源を聞き流してしまうと、ほとんど効果がありません。常に「何の話をしているのか」「どんな内容を話しているのか」を意識しながら聴くことが重要です。

具体的には、5分程度聴いたら一度音源を止めて、どんな内容だったかを頭の中で確認する習慣をつけるとよいでしょう。理解できていれば先に進み、あまり理解できていなければもう一度聴くか、より簡単な音源に切り替えることも検討します。

また、映画や動画の場合は、身振り手振りや表情、映像も合わせて見ることで、より内容理解が深まります。「英語を学習する」というよりも、「英語でコンテンツを楽しむ」という姿勢で取り組むと長続きします。

多聴を続けるためのモチベーション維持法

多聴を継続するためには、自分が興味を持てるトピックの音源を選ぶことが何より重要です。旅行、料理、スポーツ、音楽など、自分の好きな分野の英語コンテンツなら、単語の意味がすべてわからなくても内容を理解しやすく、聴き続ける意欲も湧きます。

また、週単位で聴く音源をあらかじめダウンロードしておくなど、計画的に準備することもおすすめです。やった量と残っている量を可視化することで、モチベーションを維持しやすくなります。

さらに、月に一度は新しいチャンネルや音源を試してみるなど、多様性を持たせることも大切です。同じ音源ばかりだと飽きてしまいますし、様々な話者の英語に触れることで、より幅広いリスニング力が身につきます。

英語初学者におすすめの多読多聴教材10選

多読多聴を始めたいと思っても、どんな教材を選べばよいか迷う方も多いでしょう。ここでは初学者の方におすすめの教材を10種類ご紹介します。自分の興味や学習スタイルに合わせて、ぜひ試してみてください。

読みやすさで選ぶ多読教材

聞き取りやすさで選ぶ多聴教材

多聴多読を続けるための実践的なアドバイス

多聴多読は効果的な学習法ですが、長く続けてこそ真価を発揮します。ここでは、多聴多読を長期的に継続するためのアドバイスをご紹介します。計画的に取り組み、着実に成果を積み重ねていきましょう。

学習計画の立て方

多聴多読を効果的に進めるには、目標設定と計画が重要です。例えば、「3ヶ月で初級レベルの本を10冊読む」「半年で中級レベルのポッドキャストを理解できるようになる」など、具体的かつ現実的な目標を立てましょう。

日々の学習量も設定すると良いでしょう。例えば「毎日15分の多読と10分の多聴」というように、無理のない範囲で継続できる量を決めます。小さな目標を達成していくことで、自信とモチベーションが高まります。

また、段階的なレベルアップも計画に組み込みましょう。最初は非常に簡単なものから始め、理解度や快適さを確認しながら、徐々に難易度を上げていきます。急激な難度上昇は挫折の原因となるので、少しずつステップアップすることが大切です。

モチベーションを維持する方法

多聴多読を長く続けるには、モチベーション維持が鍵となります。まず、小さな成功体験を積み重ねることが重要です。1冊読み終えたら次の本に挑戦する、理解できる音声の長さが増えたことを実感するなど、進歩を感じる機会を作りましょう。

また、学習コミュニティに参加するのも効果的です。オンラインフォーラムや多聴多読の勉強会など、同じ目標を持つ仲間と交流することで、孤独感なく学習を続けられます。お互いの成果を共有し、教材の情報交換もできます。

さらに、自分へのご褒美システムを取り入れるのもおすすめです。例えば「10冊読んだら好きな映画を観る」「1ヶ月続けたら欲しかった本を買う」など、達成感と報酬を結びつけることで、学習意欲が高まります。

進捗を記録する重要性

多聴多読の効果を実感するためには、進捗の記録が非常に重要です。読んだ本のタイトル、読了日、読書時間、難易度、感想などを記録していくと、自分の成長の軌跡を振り返ることができます。

同様に、聴いた音声の内容、時間、理解度なども記録しておくと良いでしょう。専用のアプリやノート、エクセルシートなど、自分に合った記録方法を見つけてください。

進捗を可視化することで、「こんなに読めるようになった」「以前は理解できなかった内容が聞き取れるようになった」という変化を実感できます。これが自信につながり、さらなる学習意欲を生み出す好循環を作り出します。

また、定期的に振り返りの時間を設け、学習方法の改善点を考えることも大切です。「この教材は自分に合っているか」「より効果的な時間帯はいつか」など、自分の学習スタイルを最適化していきましょう。

多聴多読に関するよくある質問

多聴多読に関して、初学者の方がよく抱く疑問にお答えします。これらの質問と回答を参考に、より効果的な学習を進めてください。

多聴多読はどれくらいの期間で効果が出るの？

多聴多読の効果が現れる期間は個人差がありますが、一般的には3〜6ヶ月ほど継続すると変化を実感し始める方が多いようです。特に最初の1〜2ヶ月は「慣れる期間」として、目に見える成果よりも学習習慣の確立を優先すると良いでしょう。

効果が現れやすい順序としては、まず「読むスピードの向上」や「基本的な語彙の定着」が感じられ、次に「リスニングの理解度向上」、そして「表現力の増加」へと繋がっていきます。

ただし、毎日の学習時間や選ぶ教材によっても効果の出方は変わります。短時間でも毎日続けることが、週に一度まとめて行うよりも効果的です。また、自分に合ったレベルと興味のある内容の教材を選ぶことで、効果が早く現れやすくなります。

初心者でも本当に辞書なしで読めるの？

これは多くの初心者が抱く疑問です。最初は不安に感じるかもしれませんが、適切なレベルの教材を選べば、辞書なしでも十分に読み進められるようになります。

ポイントは、自分のレベルよりもやや簡単な教材から始めることです。知らない単語が全体の5％程度で、内容の80％以上が理解できる教材が理想的です。そうすれば、わからない単語があっても文脈から推測できる可能性が高まります。

絵本やイラスト付きの本、既に内容を知っている作品の英語版など、視覚情報や背景知識があるものから始めると、さらに理解しやすくなります。最初は「完璧に理解する」という考えを捨て、「大まかに理解できればOK」という姿勢で取り組むことが大切です。

多聴多読と他の学習法を組み合わせるべき？

多聴多読は非常に効果的な学習法ですが、他の学習法と組み合わせることでさらに効果を高めることができます。特に初学者の場合は、基本的な文法や単語の知識を身につけることも重要です。

例えば、基礎文法の学習と多読を並行して行うと、読解力が高まりやすくなります。多読で出会った表現パターンを文法知識と結びつけることで、理解が深まるからです。

また、スピーキング練習と多聴を組み合わせると、聞いた表現を実際に使う機会が生まれ、定着率が高まります。シャドーイング（音声を聞きながら同時に声に出す練習）は、多聴と発音練習を兼ねた効果的な方法です。

バランスの取れた学習のためには、多聴多読60％、基礎学習30％、アウトプット練習10％くらいの割合が理想的かもしれません。ただし、これも個人の目標や好みによって調整すると良いでしょう。

まとめ

本記事では、英語初学者向けに多聴多読の効果やおすすめの方法を詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめておきましょう。

多聴多読は、すぐに劇的な効果が現れる魔法のような方法ではありませんが、継続することで確実に英語力を高めることができる実践的な学習法です。自分の興味に合わせて楽しみながら、無理のないペースで始めてみてください。英語学習の新たな扉が開けるはずです。