「prefer A to B」は英語でよく使われる表現の一つで、日本語では「BよりAの方を好む」「BよりAが好きだ」などと訳されます。
シンプルながらも様々な場面で使える便利なフレーズですが、特にthanではなくtoを使うという点が特徴的です。
この記事では「prefer A to B」の基本的な意味から実際の使い方、類似表現との違いまで、例文を交えながら詳しく解説していきます。
「prefer A to B」の基本的な意味
「prefer A to B」の基本的な意味は「BよりAの方を好む」「BよりAが好きだ」です。
二つの物事を比較して、より好きな方、より良いと思う方を選ぶときに使われる表現です。
例文
- I prefer tea to coffee in the morning.
(朝はコーヒーよりも紅茶の方が好きです。) - She prefers classical music to rock.
(彼女はロックよりクラシック音楽の方が好きです。) - Many students prefer studying at home to studying in the library.
(多くの学生は図書館で勉強するよりも家で勉強する方が好きです。)
「prefer A to B」の語源と背景
「prefer」という動詞は、ラテン語の「praeferre」に由来しています。
これは「pre-」(前に)と「ferre」(運ぶ)という要素から成り立っており、字義通りには「前に運ぶ」という意味があります。
この語源から、「何かを他のものより前に置く」「何かをより重視する」という意味が生まれました。
興味深いのは、「prefer A to B」という表現で比較を示す際に「than」ではなく「to」を使う点です。
これは、preferがラテン語由来の単語であるためです。
英語の比較表現では通常「比較級 + than」の形を取りますが、ラテン語由来の比較表現(superior to、inferior to、senior to、junior toなど)は「to」を使うという特徴があります。
「prefer A to B」の様々な使い方
名詞を比較する場合
最も基本的な使い方は、二つの名詞(人、物、場所など)を比較することです。
例文
- I prefer dogs to cats as pets.
(ペットとしては猫より犬の方が好きです。) - He prefers Japanese food to Italian food.
(彼はイタリア料理より日本食の方が好きです。) - Most tourists prefer spring to summer for visiting Kyoto.
(ほとんどの観光客は京都訪問には夏よりも春を好みます。)
動名詞(~ing形)を比較する場合
活動や行為を比較する場合は、動名詞(動詞+ing)を使います。
例文
- I prefer reading to watching TV.
(テレビを見るより読書する方が好きです。) - She prefers cooking at home to eating out.
(彼女は外食するより家で料理する方が好きです。) - They prefer traveling by train to flying.
(彼らは飛行機で行くより電車で旅行する方が好きです。)
「prefer to + 動詞原形 + rather than + (to) + 動詞原形」の形
動詞の原形を使って比較する場合は、「prefer to + 動詞原形 + rather than + (to) + 動詞原形」という形を取ります。
これは「〜するよりも〜する方が好き」という意味になります。
例文
- I prefer to walk rather than take the bus.
(バスに乗るより歩く方が好きです。) - She prefers to work from home rather than commute to the office.
(彼女はオフィスに通勤するよりも在宅勤務する方が好きです。) - He prefers to save money rather than spend it on unnecessary things.
(彼は不必要なものにお金を使うよりも貯金する方が好きです。)
「prefer + 人 + to + 動詞原形」の形
「〜に〜してほしい」「〜に〜してもらいたい」という意味で使う場合は、「prefer + 人 + to + 動詞原形」の形を取ります。
例文
- I prefer students to arrive on time.
(学生には時間通りに到着してほしいです。) - She prefers her children to read books before bed.
(彼女は子供たちに寝る前に本を読んでほしいと思っています。) - The teacher prefers us to submit our assignments by email.
(先生は私たちに課題をメールで提出してほしいと思っています。)
「prefer A to B」の注意点
to vs. than の使い分け
英語の比較表現では通常「than」を使いますが、「prefer」の場合は「to」を使います。
これはprefer以外にも、superior(優れている)、inferior(劣っている)、prior(先の)、posterior(後の)などのラテン語由来の単語に共通する特徴です。
例文
- I prefer tea to coffee.
(紅茶の方がコーヒーより好きです。)- 正しい - I prefer tea than coffee.
(×)- 間違い
prefer の後に続く形
「prefer」の後には、名詞、動名詞、「to + 動詞原形」のいずれかが続きます。
動詞の原形をそのまま続けることはできません。
例文
- I prefer to stay at home.
(家にいる方が好きです。)- 正しい - I prefer stay at home.
(×)- 間違い
動名詞と不定詞の選択
「prefer」の後には動名詞も不定詞も続けることができますが、微妙にニュアンスが異なります。
- 動名詞(~ing形):一般的な好みや習慣を表す
- 不定詞(to + 動詞原形):特定の状況での好みを表すことが多い
例文
- I prefer swimming in the morning.
(朝に泳ぐのが好きです。)- 一般的な好み - I prefer to swim in the morning today.
(今日は朝に泳ぎたいです。)- 特定の状況
「prefer A to B」と類似表現の違い
「like A better than B」との違い
「like A better than B」も「BよりAの方が好き」という意味で、「prefer A to B」とほぼ同じ意味です。
ただし、「like better」の方がカジュアルな印象があります。
例文
- I prefer classical music to pop music.
(クラシック音楽の方がポップミュージックより好きです。)- やや公式な表現 - I like classical music better than pop music.
(クラシック音楽の方がポップミュージックより好きです。)- よりカジュアル
「would rather」との違い
「would rather」は「〜する方がいい」という意味で、「prefer」に似ていますが、より特定の状況や選択について使われることが多いです。
例文
- I would rather stay home tonight than go to the party.
(今夜はパーティーに行くより家にいた方がいいです。) - I prefer staying home to going to parties.
(パーティーに行くより家にいる方が好きです。)
「would prefer」との違い
「would prefer」は「prefer」より丁寧で控えめな表現です。
特に依頼や要望を表す際に使われることが多いです。
例文
- I would prefer tea to coffee, if possible.
(可能であれば、コーヒーより紅茶が良いです。) - Would you prefer to meet on Monday or Tuesday?
(月曜日と火曜日のどちらで会う方がいいですか?)
「prefer」の関連語
preference(名詞)
「preference」は「prefer」の名詞形で、「好み」「嗜好」「優先」という意味です。
例文
- What are your food preferences?
(あなたの食べ物の好みは何ですか?) - My preference is for quiet restaurants.
(私の好みは静かなレストランです。) - He has a strong preference for Japanese cars.
(彼は日本車に強い好みを持っています。)
preferable(形容詞)
「preferable」は「より望ましい」「より好ましい」という意味の形容詞です。
「preferable to」の形でよく使われます。
例文
- An early start is preferable to a late one.
(遅いスタートより早いスタートの方が望ましいです。) - It’s preferable to book tickets in advance.
(チケットは事前に予約する方が望ましいです。) - A peaceful solution is preferable to conflict.
(争いより平和的な解決策の方が望ましいです。)
preferably(副詞)
「preferably」は「できれば」「なるべく」「好ましくは」という意味の副詞です。
例文
- Please submit your application by Friday, preferably by email.
(申込書は金曜日までに、できればメールで提出してください。) - Wear comfortable clothes, preferably sportswear.
(快適な服装で、できればスポーツウェアを着てきてください。) - The meeting should be held soon, preferably next week.
(会議はすぐに行われるべきで、できれば来週が良いです。)
「prefer A to B」を使った実践例
日常会話での使用例
例文
- A: Would you like coffee or tea?
(コーヒーと紅茶、どちらがいいですか?)
B: I prefer tea to coffee in the afternoon.
(午後は紅茶の方が好きです。) - A: Do you prefer eating out or cooking at home?
(外食と自炊、どちらが好きですか?)
B: I generally prefer cooking at home to eating out. It’s cheaper and healthier.
(一般的に外食より自炊の方が好きです。より安くて健康的ですから。)
ビジネスシーンでの使用例
例文
- I prefer face-to-face meetings to video conferences for important discussions.
(重要な議論にはビデオ会議より対面会議を好みます。) - Our clients prefer receiving regular updates to being contacted only when there’s a problem.
(クライアントは問題があるときだけ連絡を受けるよりも、定期的な更新情報を受け取ることを好みます。) - The CEO prefers employees to take initiative rather than wait for instructions.
(CEOは従業員が指示を待つよりも主体性を持つことを好みます。)
まとめ:「prefer A to B」の使い方のポイント

「prefer A to B」は英語で「BよりAの方を好む」という意味を持つ便利な表現です。
この表現の主なポイントをまとめると、
- 基本的な意味は「BよりAの方を好む」「BよりAが好きだ」です。
- 比較にはthanではなくtoを使います(ラテン語由来の特徴)。
- 名詞同士の比較、動名詞同士の比較、「to+動詞原形 rather than」の形で使えます。
- 「prefer + 人 + to + 動詞原形」で「人に〜してほしい」という意味になります。
- 関連語として、preference(名詞)、preferable(形容詞)、preferably(副詞)があります。
- 類似表現に「like A better than B」「would rather」「would prefer」などがあります。
「prefer A to B」をマスターすれば、自分の好みや選択をより正確に表現できるようになります。
日常会話からビジネスシーンまで幅広く使える表現なので、ぜひ積極的に使ってみてください。