「each」は英語で「それぞれの」「各々の」という意味を持つ単語で、限定詞、代名詞、副詞として使われます。英文法の中でも幅広い使い方ができる重要な単語ですが、初学者にとっては少し混乱しやすい表現でもあります。
この記事では、「each」の基本的な意味から使い方、よくある間違いまで、分かりやすく詳しく解説していきます。
「each」とは?それぞれの個別の要素を示す表現

「each」は英語の分配表現(distributive)の一つで、グループの中にある個々の要素やメンバーを指す時に使います。基本的に「それぞれの」「各々の」という意味を持ち、グループ内の個別の要素に焦点を当てる表現です。
例えば、クラスの生徒全員について話すときに、一人一人に注目したい場合に「each」を使うことができます。
「each」は2つ以上のものについて言及する時に使用することができます。「each」は特に個別性を強調したい場合に適しており、グループの中の各要素を個別に考えることを意味します。
例えば、「each student」(各生徒)というと、クラスの生徒一人一人を別々に考えているというニュアンスになります。
「each」を使う時は、基本的に単数形の動詞を使います。これは「each」が本質的に単数の概念を表すためです。
たとえグループ全体では複数のものを指していても、「each」は一つ一つに焦点を当てるため、文法的には単数扱いになります。
「each」の品詞と使い方
「each」は英語の中で限定詞、代名詞、副詞という3つの異なる品詞として使うことができます。
それぞれの品詞によって使い方や文中での位置が異なりますので、ここでは品詞ごとに詳しく見ていきましょう。
限定詞としての「each」
限定詞としての「each」は、単数名詞の前に置かれ、グループ内の個々のメンバーやアイテムを指すために使います。この場合、「each」の後には必ず単数名詞が来て、文全体では単数形の動詞を使います。
限定詞としての「each」を使った例文を見てみましょう。
例文
- Each student has a textbook. (各生徒は教科書を持っています。)
- Each day brings new opportunities. (毎日が新しい機会をもたらします。)
- Each room has a window. (各部屋には窓があります。)
- Each person must show their ticket. (各自がチケットを見せなければなりません。)
- Each morning I drink a cup of coffee. (毎朝コーヒーを一杯飲みます。)
このように、限定詞としての「each」は単数名詞の前に置かれ、「グループの中の各メンバー」を個別に捉える表現です。
代名詞としての「each」
代名詞としての「each」は、名詞の代わりに使われ、グループ内の個々の要素を指します。名詞を繰り返し使わなくても良いという利点があります。この場合も単数形の動詞を使います。
代名詞としての「each」を使った例文を見てみましょう。
例文
- We have two books. Each is interesting. (私たちは2冊の本を持っています。それぞれが面白いです。)
- The children did their homework. Each completed it on time. (子供たちは宿題をしました。それぞれが時間通りに終えました。)
- There are five apples on the table. You can take each. (テーブルの上にリンゴが5つあります。あなたはそれぞれを取ることができます。)
また、「each of」という形で、複数名詞や代名詞と共に使われることもあります。
例文
- Each of the students has finished the test. (生徒たちはそれぞれテストを終えました。)
- Each of us needs to bring lunch tomorrow. (私たちはそれぞれ明日昼食を持ってくる必要があります。)
- Each of these books is worth reading. (これらの本はどれも読む価値があります。)
副詞としての「each」
副詞としての「each」は、動詞を修飾し、「それぞれに」「一つずつ」という意味を持ちます。この用法では、「each」は文中のさまざまな位置に置くことができます。
副詞としての「each」を使った例文を見てみましょう。
例文
- The tickets cost 500 yen each. (チケットはそれぞれ500円です。)
- We were given a paper each. (私たちはそれぞれ紙を1枚もらいました。)
- The children received two candies each. (子供たちはそれぞれ2個のキャンディをもらいました。)
- They paid 10 dollars each for the movie. (彼らは映画にそれぞれ10ドル払いました。)
副詞としての「each」は、特定の位置に縛られず、文頭、文中、文末など様々な位置に置くことができます。
「each」と「each of」の違い
「each」と「each of」は似ていますが、いくつかの重要な違いがあります。ここでは、その違いについて詳しく見ていきましょう。
「each」は単数名詞の前に直接置かれ、単数名詞と一緒に使います。
例文
- Each student is responsible for their own learning. (各生徒は自分自身の学習に責任があります。)
一方、「each of」は複数名詞や代名詞と一緒に使います。
例文
- Each of the students is responsible for their own learning. (生徒たちはそれぞれ自分自身の学習に責任があります。)
- Each of us needs to bring a pencil. (私たちはそれぞれ鉛筆を持ってくる必要があります。)
注意すべき点は、「each of」の後に複数名詞が来ても、動詞は単数形を使うということです。これは「each」が個々の要素に焦点を当てるためです。
例文
- Each of the books is interesting. (それぞれの本は面白いです。)
また、「each of」は冠詞(the, a, an)や指示代名詞(this, that, these, those)などの限定詞がついた名詞、または代名詞(us, them, you)と一緒に使われます。
- Each of the students(生徒たちのそれぞれ)
- Each of these books(これらの本のそれぞれ)
- Each of them(彼らのそれぞれ)
「each of」を使うことで、特定のグループ内の各メンバーに焦点を当てることができます。
「each」と「every」の違い
「each」と「every」はどちらも「それぞれの」という意味を持ち、似た使い方をしますが、微妙なニュアンスの違いがあります。ここでは、それらの違いを詳しく解説します。
意味と焦点の違い
「each」はグループ内の個々のメンバーやアイテムに焦点を当て、個別性を強調します。一方、「every」はグループ全体を一般化して表現します。
例文
- Each student in the class received a certificate. (クラスの各生徒は証明書を受け取りました。)
- この例では、生徒一人一人に個別に焦点を当てています。
- Every student loves holidays. (すべての生徒は休日が好きです。)
- この例では、生徒全体を一般化して表現しています。
対象となる数の違い
「each」は2つ以上のものに使うことができますが、「every」は通常3つ以上のものに使います。
例文
- Both parents gave each child a present. (両親はそれぞれの子供にプレゼントをあげました。)
- Every child in the school received a book. (学校のすべての子供が本を受け取りました。)
表現のニュアンスの違い
「each」は個別性を強調するため、「個々に」「一つ一つ」というニュアンスがあります。
「every」は全体性や普遍性を強調するため、「すべての」「例外なく」というニュアンスがあります。
例文
- I checked each answer carefully. (私は一つ一つの答えを注意深く確認しました。)
- Every answer was correct. (すべての答えが正解でした。)
以下の表は「each」と「every」の主な違いをまとめたものです。
| 特徴 | each | every |
|---|---|---|
| 焦点 | 個々のメンバー | グループ全体 |
| 対象数 | 2つ以上 | 3つ以上 |
| ニュアンス | 個別性 | 全体性・普遍性 |
| 使用例 | Each student has a book. | Every student needs a book. |
「each」のよくある間違いと注意点
「each」を使う際によく見られる間違いや注意すべきポイントをいくつか紹介します。
これらを理解することで、より正確に「each」を使えるようになります。
動詞の単数・複数の混同
「each」は単数の概念を表すため、主語として使う場合や「each of」の後には単数形の動詞を使います。
誤:Each of the students are working hard.
正:Each of the students is working hard. (生徒たちはそれぞれ一生懸命勉強しています。)
誤:Each book and magazine are on the shelf.
正:Each book and magazine is on the shelf. (それぞれの本と雑誌は棚の上にあります。)
「each of」の後の名詞の形
「each of」の後には複数名詞または複数の代名詞を使います。
誤:Each of student is present today.
正:Each of the students is present today. (生徒たちはそれぞれ今日出席しています。)
誤:Each of book is interesting.
正:Each of the books is interesting. (それぞれの本は面白いです。)
「each other」と「one another」の混同
「each other」は主に2人または2つのものの間での相互作用を表し、「one another」は3人以上または3つ以上のものの間での相互作用を表します。
ただし、現代の英語ではこの区別はあまり厳密ではなくなっています。
例文
- The two friends help each other with homework. (2人の友達はお互いに宿題を手伝います。)
- The students in the class help one another with their projects. (クラスの生徒たちはお互いにプロジェクトを手伝います。)
「each」と「every」の使い分け
「each」と「every」は似ていますが、上記で説明したように使い分けが必要です。
特に個別性を強調したい場合は「each」を、全体性や一般化を表現したい場合は「every」を使いましょう。
誤(文脈による):I checked every answer one by one.
正:I checked each answer one by one. (私は一つ一つの答えを確認しました。)
誤(文脈による):Each student in the world needs education.
正:Every student in the world needs education. (世界中のすべての生徒は教育を必要としています。)
「each」の位置
副詞としての「each」は、文中のさまざまな位置に置くことができますが、意味が明確になるように適切な位置を選びましょう。
- We paid five dollars each for the tickets. (私たちはチケットにそれぞれ5ドル払いました。)
- Each, we paid five dollars for the tickets. (それぞれ、私たちはチケットに5ドル払いました。)- 不自然な表現
- We each paid five dollars for the tickets. (私たちはそれぞれチケットに5ドル払いました。)
「each」に関する問題
「each」は英語で「それぞれ」「各々」を意味し、単数形の名詞や動詞と一緒に使われることが多い単語です。しかし、似たような意味を持つ「every」や「all」などと混同しやすい点もあります。
この問題では、「each」を正しく使う場面を理解するとともに、他の表現との違いを学ぶことを目的としています。以下の問題を通じて、文法やニュアンスの違いを確認してみましょう。
- ___ student in the class has a different favorite subject.
- ___ of the two options seems reasonable to me.
- ___ person in the team contributed to the project equally.
- The teacher gave a different task to ___ of the students.
- ___ of these books belongs to the library.
- ___ child in the neighborhood was invited to the party.
- I don’t think ___ of them is suitable for this job.
- The manager spoke to ___ employee individually about their performance.
- ___ of us has our own unique perspective on this issue.
- The coach asked us to run around the field together, not one by one like ___ player.
「each」に関するよくある質問
ここでは、「each」に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
- 「each」と「every」はどのように使い分ければ良いですか?
-
「each」は個々のアイテムや人に焦点を当て、個別性を強調する時に使います。一方、「every」はグループ全体を一般化して表現する時に使います。
また、「each」は2つ以上のものに使えますが、「every」は通常3つ以上のものに使います。
- Each student in my class has a computer.(私のクラスの各生徒はコンピュータを持っています。)- 個々の生徒に焦点
- Every student needs a good education.(すべての生徒は良い教育を必要としています。)- 生徒全般について一般化
- 「each」の後の動詞は単数形ですか、複数形ですか?
-
「each」の後の動詞は単数形を使います。これは「each」が本質的に単数の概念を表すためです。
「each of」の後に複数名詞が来る場合でも、動詞は単数形を使います。
- Each student is working on a different project.(各生徒は異なるプロジェクトに取り組んでいます。)
- Each of the books is worth reading.(それぞれの本は読む価値があります。)
- 「each other」と「one another」の違いは何ですか?
-
伝統的には、「each other」は2人または2つのものの間での相互作用を表し、「one another」は3人以上または3つ以上のものの間での相互作用を表すとされていました。
しかし、現代の英語ではこの区別はあまり厳密ではなく、どちらも互換的に使われることが多いです。
- The two friends help each other with homework.(2人の友達はお互いに宿題を手伝います。)
- The students in the class help one another with their projects.(クラスの生徒たちはお互いにプロジェクトを手伝います。)
- 「each」を文のどこに置くべきですか?
-
限定詞としての「each」は名詞の前に置きます。代名詞としての「each」は単独で使うか、「each of」という形で使います。
副詞としての「each」は、文中のさまざまな位置(動詞の前後や文末など)に置くことができます。
- Each student received a prize.(各生徒は賞を受け取りました。)- 限定詞
- Each of them is special.(彼らはそれぞれ特別です。)- 代名詞
- The tickets cost $10 each.(チケットはそれぞれ10ドルです。)- 副詞
- We each have our own room.(私たちはそれぞれ自分の部屋を持っています。)- 副詞
- 「each」は「both」とどう違いますか?
-
「both」は2つのものだけを指す時に使いますが、「each」は2つ以上のものに使うことができます。
また、「both」はペアや2つのものを一緒に考える時に使い、「each」は個々のアイテムに焦点を当てる時に使います。
- Both parents attended the meeting.(両親とも会議に出席しました。)- 2人として一緒に考えている
- Each parent had a different opinion.(それぞれの親は異なる意見を持っていました。)- 個々に焦点を当てている
まとめ

この記事では、英語の「each」の意味と使い方について詳しく解説しました。「each」は限定詞、代名詞、副詞として使われ、グループ内の個々のメンバーやアイテムに焦点を当てる表現です。
「each」の正しい使い方を理解することで、より正確に英語を表現することができます。以下に、この記事の重要なポイントをまとめます。
- 「each」は「それぞれの」「各々の」という意味を持ち、限定詞、代名詞、副詞として使われる
- 限定詞としての「each」は単数名詞の前に置き、単数形の動詞を使う
- 代名詞としての「each」は名詞の代わりに使われ、「each of」という形で複数名詞や代名詞と共に使うこともある
- 副詞としての「each」は「それぞれに」「一つずつ」という意味で、文中のさまざまな位置に置くことができる
- 「each」と「every」は似ているが、「each」は個別性を、「every」は全体性を強調する
- 「each」は2つ以上のものに使えるが、「every」は通常3つ以上のものに使う
- 「each」の後には単数形の動詞を使う
- 「each of」の後には複数名詞や代名詞を使い、動詞は単数形を使う
英語の「each」の使い方を正確に理解することで、より自然で正確な英語表現ができるようになります。
日常会話やライティングで積極的に使って、表現の幅を広げていきましょう。

