英語学習の中でも特に壁を感じるのがリスニングではないでしょうか。「何度聞いても英語が聞き取れない」「単語は知っているのに会話になるとさっぱり分からない」といった悩みを抱える方は多いはずです。特に初心者の方にとっては、リスニング学習をどこから始めればいいのか迷ってしまうことも少なくありません。
この記事では、英語初学者の方に向けて、効果的なリスニング学習の始め方から具体的な勉強法、おすすめの教材やアプリまで、現在の最新情報を踏まえて徹底解説します。正しい方法でリスニングに取り組めば、着実に上達することができます。
英語リスニングの基礎知識:なぜ初心者は聞き取れないのか

英語のリスニングが難しく感じる最大の理由は、英語の音に慣れていないことにあります。日本語と英語では音の特徴が大きく異なるため、英語特有の音の連結や強弱、リズムに慣れていないと、どんなに単語や文法を知っていても聞き取ることは困難です。
リスニング力を向上させるためには、英語の音に耳を慣らし、音の特徴を理解することが重要になります。まずは英語のリスニングがなぜ難しいのか、その原因を理解しましょう。
リスニング力の2つの要素:聞き取り能力と意味取り能力
英語のリスニング力は主に以下の2つの能力から構成されています。
- 聞き取り能力:英語の「音」そのものを正確に聞き取る能力です。発音やリズム、イントネーションを理解し、話者の言葉を音として認識できるスキルです。
- 意味取り能力:聞き取った英語の音から意味を理解する能力です。語彙力や文法知識が豊富であれば、聞き取った英語をより正確に理解することができます。
初心者がリスニングを上達させるためには、まず「聞き取り能力」を重点的に鍛えることが大切です。英語の音に慣れることで、これまで聞き取れなかった音も次第に聞き取れるようになっていきます。
初心者がやりがちな間違った勉強法
リスニング学習において、効果が薄いあるいは逆効果となる勉強法も存在します。時間を無駄にしないためにも、初心者がよくやりがちな間違った勉強法を知っておきましょう。
英語の聞き流し
英語音声をBGMのように流しておくだけでは、ほとんど効果は期待できません。意識的に音に注意を向けなければ、脳が処理せずに流れてしまうため、リスニング力は向上しません。
準備不足のシャドーイング
シャドーイングは効果的な学習法ですが、基礎ができていない状態で難しい教材に挑戦すると、音を追いかけることに意識が向いてしまい、発音や意味理解が二の次になってしまいます。
こうした効果の薄い方法に時間を割くよりも、自分のレベルに合った効果的な方法からスタートすることが重要です。

初心者がまず取り組むべき4つのこと
英語リスニングを効果的に上達させるために、初心者がまず取り組むべき4つのことを紹介します。これらの基礎があれば、その後のリスニング学習もスムーズに進みます。
発音練習でリスニングの土台を作る
英語初心者がまず優先して取り組むべきなのは「発音練習」です。多くの初心者が「何から始めれば良いかわからない」と悩みますが、発音練習こそがリスニング学習の土台となる非常に重要なステップです。
発音練習を通して、ネイティブスピーカーがどのように音を出しているのかを理解し、自分で同じ音を出せるようになると、リスニングの際にその音を認識できるようになります。「発音できない音は聞き取れない」と言われるように、発音とリスニングは密接に関連しています。
スポーツで基礎体力が重要なように、英語学習では発音練習というベースづくりが非常に大切です。発音練習を早い段階で始めることで、リスニング力の飛躍的な向上が期待できます。
中学英語の基礎を固める
日常英会話を聞き取れるようになるには、中学レベルの基礎的な語彙・英文法の知識が不可欠です。実は、日常会話で使われる英語のほとんどは中学レベルの英語で構成されています。
「中学英語が身についているかどうか不安」と感じるのであれば、まずは中学レベルの語彙・英文法を学び直すところからスタートしましょう。発音練習のベースと中学レベルの基礎知識があれば、日常会話レベルの英語は十分に聞き取れるようになります。
具体的な目標設定の重要性
リスニングを効率的に上達させるには、具体的な目標を設定することが重要です。「英語を聞き取れるようになりたい」という漠然とした目標よりも、「お気に入りのYouTuberの英語動画を字幕なしで理解できるようになる」「好きな海外ドラマの1エピソードを字幕なしで理解する」といった具体的な目標のほうが、モチベーションを維持しやすくなります。
目標が明確であれば、そこに到達するまでに何をすべきかも見えてきます。短期目標と長期目標を設定して、着実にリスニング力を高めていきましょう。
効果のない勉強法を避ける
時間を無駄にせず効率よく学習するためには、効果のない勉強法を知っておくことも大切です。
例えば、「聞き流し」は英語の音声をただ流すだけでは効果がありません。また、「シャドーイング」も基礎ができていない段階では、音を追いかけることに意識が向いてしまい、肝心の発音と意味理解が二の次になってしまう可能性があります。
効果的なリスニング学習のためには、自分のレベルに合った教材を選び、意識的に英語の音に耳を傾ける習慣をつけることが大切です。
効果的な英語リスニング勉強法
ここからは、初心者が実践できる効果的なリスニング勉強法を具体的に解説していきます。これらの方法は、多くの学習者に効果が実証されているものです。
音読の重要性
リスニング力を高めるための基本的な練習方法が「音読」です。リスニング力を高めるための基本は、音読なのです。音読とは、テキストを見ながら声に出して読む練習方法です。
音読の大きなメリットは、英語の音とテキストをリンクさせながら練習できることです。音読を繰り返すことで、英語の自然なリズムやイントネーションに慣れ、リスニングの際にもその音が認識しやすくなります。
音読する際は、必ず文字を見ながら行い、音とテキストを結びつけることが重要です。できれば、ネイティブスピーカーの音声を手本にして、そのリズムや抑揚を真似るようにしましょう。
リピーティングの方法
リピーティングは、音声を一度聞いてからその内容を繰り返す練習法です。この方法は、英語の音のリズムやイントネーションに慣れるために非常に効果的です。
リピーティングの手順
- 短い英文を聞く
- 音声を一時停止する
- 聞いた内容を同じように発音してみる
- もう一度音声を聞いて、自分の発音と比較する
リピーティングのポイントは、音声を一時停止しながら自分で発音してみることです。文全体を通してリズムや強弱に注目し、できるだけ正確に真似ることを意識しましょう。

オーバーラッピングの方法
オーバーラッピングは、音声を再生しながらそれと同時に音読する練習法です。リピーティングよりもリアルなスピード感に近づくため、実際の会話やリスニングスピードに対応できるようになります。
オーバーラッピングの手順
- 音声教材を準備する
- 音声を再生しながら、同時に声を出して読む
- 音声と自分の声がずれないように注意する
オーバーラッピングのポイントは、音声と自分の声がずれないように注意しながら何度も練習することです。発音だけでなく、文全体の流れやスピード感を意識することが大切です。

シャドーイングの効果と実践方法
シャドーイングは、聞こえてくる英語の音声をすぐに後から真似して発音する方法です。シャドーイングの特徴は、文字を見ずに音声だけに集中して行うことです。
シャドーイングは、リスニングだけでなくスピーキング力も鍛えることができ、英語のリズムやイントネーションを体に染み込ませるのに効果的です。
シャドーイングの手順
- まずはリピーティングやオーバーラッピングに慣れる
- 短いフレーズから始め、徐々に長い文や会話に挑戦する
- ゆっくりとした音声を選び、慣れてきたら徐々にスピードを上げる
シャドーイングは特に中級以上の学習者に効果的な方法ですが、初心者の場合は基礎ができてから挑戦することをお勧めします。


リスニング力レベル別おすすめ教材と学習法
リスニング力を効率的に伸ばすためには、自分のレベルに合った教材を選ぶことが大切です。ここでは、初級者、中級者、そして高校生向けの教材と学習法を紹介します。
初級者向け:基礎からはじめる教材
英語の基礎を固めたい初心者には、中学校の教科書を使った学習がおすすめです。最近の中学校の教科書にはQRコードがついているものが多く、簡単に音声を聞くことができるため、自宅でのリスニング学習にも最適です。
初級者向けの学習法
- 中学英語の復習をしながら、音読やリピーティングを取り入れる
- 知っている単語や文法が使われている教材を選ぶ
- 繰り返し練習することで、英語の音に慣れる
初級者は複雑な内容より、基本的な日常会話や簡単なトピックの教材から始めるとよいでしょう。
中級者向け:ステップアップのための教材
リスニング力がある程度ついてきたら、英検の過去問や検定試験のリスニング問題(スクリプト)を使った学習がおすすめです。スクリプトを確認しながら、リスニングだけでなくスピーキングにも役立つ練習ができます。
中級者向けの学習法
- シャドーイングを取り入れ、正確な発音とスピード感を身につける
- スクリプトを参考にしながら、聞き取れなかった部分を重点的に練習する
- 英語ニュースや短いドキュメンタリーなど、より実践的な教材に挑戦する
中級者は、語彙力を増やしながら、様々なジャンルの英語に触れることで、リスニング力をさらに高めることができます。
高校生向け:共通テスト対策のリスニング勉強法
高校生にとって大学入学共通テストの英語リスニングは重要な試験です。共通テストのリスニング対策には、日頃からのシャドーイングが非常に効果的です。
共通テスト第5問のような長い音声でも、日々のシャドーイング練習を通じて対応力を高めることができます。模試でのリスニングの偏差値が15程度上昇した事例もあるほど、シャドーイングは効果的な方法です。
共通テストリスニング対策のポイント
- 第5問が始まる前に与えられる時間を使って「状況」と「ワークシート」の内容を把握する
- 問題文をよく読み、どのような内容の音声が流れてくるのかを予測する
- 音声を聞きながらワークシート上の空欄を埋めていく
- 日頃から様々な英語の音声に触れ、長い音声にも対応できる耳を作る
共通テストのリスニングは、きちんと対策をすれば8割以上の得点も十分に可能です。特に第5問は長い音声ですが、音声スピードはゆっくりめなので、準備をしっかりすれば高得点を狙えます。
TOEICリスニング対策:初心者が押さえるべきポイント
TOEICはビジネス英語の能力を測る試験として広く認知されており、就職活動や昇進にも影響する重要な資格です。TOEICのリスニングセクションは正しい勉強法で学習すれば、スコアアップが見込めます。
TOEICリスニングセクションの特徴と対策
TOEICのリスニングセクションは、Part 1(写真描写問題)、Part 2(応答問題)、Part 3(会話問題)、Part 4(説明文問題)の4つのパートで構成されています。初心者がTOEICリスニングで高得点を取るためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
おすすめのTOEIC向けリスニング教材
TOEICリスニング対策におすすめの教材をいくつか紹介します。
- 英語耳:発音に特化した参考書で、1日30分の勉強を続けるだけで成果が出るように構成されています。英語初心者はまずこの参考書から始めるとリスニング力が効率よく上がります。
- TOEIC TEST サラリーマン特急 新形式リスニング:TOEICリスニングの解き方や勉強法について解説した参考書です。リスニング学習の方法論を身につけたい方におすすめです。
- 公式TOEIC Listening & Reading 問題集:TOEICテストの対策では必須の問題集です。本番と同じナレーターの音声で練習できるため、テスト本番の雰囲気に慣れることができます。
これらの教材を組み合わせて学習することで、TOEICリスニングのスコアアップを効率的に目指せます。
スマホで簡単!初心者におすすめの英語リスニングアプリ
スマートフォンアプリを活用すれば、場所を選ばず手軽に英語リスニングの練習ができます。現在、多くの優れた英語学習アプリが提供されていますので、いくつか紹介します。
無料で使える英語リスニングアプリ
- 英会話や英単語を聞き流し – 英語リスニング
様々なトピックで英語リスニング学習ができるアプリです。毎日新しい話題がアップロードされるため、最新情報に触れながら英語学習できます。初心者にも聞き取りやすい明瞭な発音で、速度調整機能や日英字幕・リピート機能なども備わっています。 - RedKiwi
ドラマや映画の動画を見ながら楽しくリスニング学習ができるアプリです。日英字幕はもちろん、ネイティブによる動画内の英文解説もあり、楽しみながら学習を続けられます。
発音とリスニングを同時に鍛えるアプリ
これらのアプリを日常的に使うことで、英語の音に慣れ、徐々にリスニング力を高めていくことができます。特に初心者は、短いフレーズから始めて、徐々に長い会話や説明文に挑戦していくとよいでしょう。
アクティブリスニングのすすめ:ただ聞くだけでは上達しない
リスニング力を本当に向上させるためには、「アクティブリスニング」という考え方が重要です。アクティブリスニングとは、相手の言葉をただ聞くだけではなく、意識的に理解し、反応することでコミュニケーションを深める方法です。
アクティブリスニングのポイント
アクティブリスニングを実践するための5つのポイントを紹介します。
- 注意を向ける:スマホを置いたり、周囲の雑音を減らしたりして、聞く内容に集中する環境を整えましょう。相手が何を言っているのか、どのような感情が込められているのかを意識的に把握することが大切です。
- 質問をする:内容をより深く理解するために、質問をすることが効果的です。「Could you tell me more about that?(それについてもう少し教えてもらえますか?)」などの質問で、相手の意図や背景をより明確に理解できます。
- 反応を示す:相手の話を聞きながら、頷いたり、「I see(なるほど)」「Right(そうですね)」といった短い反応を返すことで、相手に自分が話を理解していることを示しましょう。
- 要約する:相手の話が終わった後、重要なポイントを要約することで、理解度を確認できます。「So, what you’re saying is…(つまり、あなたが言いたいのは…)」といった形で確認しましょう。
- 非言語コミュニケーションに注意を払う:言葉だけではなく、相手の表情や身振り手振りも重要な情報源です。非言語的なサインを意識的に読み取るようにしましょう。
日常で英語を聞く習慣をつける方法
日常生活の中で英語を聞く機会を増やすことで、自然とリスニング力を高めることができます。以下のような方法で、日々の生活に英語リスニングを取り入れましょう。
- ポッドキャストを活用する:好きなトピックに関するポッドキャストを選び、通勤中や運動中など隙間時間を活用して聞きましょう。
- YouTube動画を活用する:英語の解説動画や旅行ブログなど、視覚的に楽しめるコンテンツを視聴することで、リスニングと視覚情報を結びつけて理解を深めることができます。
- 映画やドラマを英語で観る:最初は日本語字幕付きで視聴し、慣れてきたら英語字幕、最終的には字幕なしで視聴することで、段階的にリスニング力を高められます。
- 英語の歌を聴く:好きな洋楽を聴きながら歌詞を確認することで、楽しく英語の音やリズムに慣れることができます。
- 毎日少しずつ続ける:1日5~10分でもいいので、毎日英語を聞く習慣をつけることが大切です。継続することで、少しずつリスニング力が向上していきます。
これらの方法を組み合わせることで、英語リスニングのスキルを効果的に高めていくことができます。
英語リスニングの学習に関するよくある質問
英語リスニングの学習に関してよくある質問とその回答をまとめました。
- シャドーイングとリピーティングの違いは?
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シャドーイングとリピーティングは、どちらもリスニング力とスピーキング力を向上させるための練習方法ですが、以下のような違いがあります。
シャドーイング
- 音声を聞きながら、少し遅れて同じ内容を発音する方法
- 文字を見ずに音声だけを頼りに行う
- スピード感や音のつながりを体感できる
- 中級者以上向けの練習法
リピーティング
- 音声を一度聞いてから、一時停止して同じ内容を発音する方法
- 音声のリズムやイントネーションに慣れるための基礎練習
- シャドーイングより易しく、初心者でも取り組みやすい
初心者はまずリピーティングから始め、慣れてきたらシャドーイングに挑戦するとよいでしょう。
- 1日どれくらい英語リスニングに時間をかけるべき?
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英語リスニングの学習時間は、個人の目標やスケジュールによって異なりますが、継続することが最も重要です。初心者の場合、以下のような時間配分がおすすめです。
- 最低でも1日15~30分程度
- できれば毎日同じ時間帯に行う
- 集中できる短い時間を複数回設ける(例:朝15分、夕方15分)
長時間一気に取り組むより、毎日少しずつ続けるほうが効果的です。また、通勤・通学時間や家事の合間など、隙間時間を活用するのもおすすめです。
- 英語の聞き流しは効果があるのか?
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英語を単に「聞き流す」だけでは、リスニング力の向上はあまり期待できません。脳が音を処理せず、無意識に流れてしまうからです。
しかし、全く効果がないわけではありません。以下のような方法で取り入れると、補助的な効果が期待できます。
- 事前に内容を理解してから聞き流す
- 可能な限り集中して聞く時間を作る
- 同じ音声を繰り返し聞く
- 聞き流しと併せて、音読やシャドーイングなどの能動的な学習も行う
聞き流しだけに頼らず、積極的にリスニングに取り組む時間も確保しましょう。
まとめ

英語のリスニング学習は、正しい方法で取り組めば誰でも上達することができます。初心者が英語リスニングを上達させるためのポイントを以下にまとめます。
- 発音練習でリスニングの土台を作る
- 発音できない音は聞き取れないため、発音練習は重要
- 英語の音のリズムやイントネーションに慣れることが大切
- 中学英語の基礎を固める
- 日常会話レベルの英語は中学レベルの語彙・文法でほとんどカバー可能
- 基礎知識があれば、リスニング学習もスムーズに進む
- 効果的な練習方法を取り入れる
- 音読、リピーティング、オーバーラッピング、シャドーイングなどの方法を段階的に取り入れる
- 自分のレベルに合った教材を選び、徐々にレベルアップしていく
- アクティブリスニングを意識する
- 単に聞くだけでなく、理解しようとする意識を持つ
- 相手の話に集中し、反応を示すなどの積極的な姿勢が大切
- 日常的に英語に触れる機会を増やす
- スマホアプリ、ポッドキャスト、YouTube、映画、音楽など様々なメディアを活用
- 毎日少しずつでも継続することが重要
- 高校生は共通テスト対策を忘れずに
- シャドーイングでリスニング力を高め、共通テスト対策に活かす
- 問題文をよく読み、状況把握をしてから音声を聞く習慣をつける
- TOEICスコアアップを目指すなら専用教材で対策
- 発音練習から始め、TOEIC特有の問題形式に慣れていく
- 公式問題集で本番の雰囲気をつかむ
英語リスニングの上達には時間がかかりますが、正しい方法で継続的に取り組めば、必ず成果が表れます。この記事で紹介した方法を参考に、あなたに合ったリスニング学習法を見つけて、英語力向上を目指してください。

