英語を学び始めたとき、最初に出会う品詞が「名詞」です。「りんご(apple)」「学校(school)」「友達(friend)」など、人や物、場所、概念の名前を表す言葉です。日本語にも名詞はありますが、英語の名詞には複数形や冠詞の使い方など、日本語とは異なるルールがあります。
この記事では、英語初学者の方に向けて、名詞の基本から応用まで、5つの種類に分けてわかりやすく解説します。実用的な例文や一覧表も用意しましたので、英語の文法の基礎となる名詞をしっかりマスターしましょう。
名詞とは?英語の基本を理解しよう

名詞とは、人、場所、物、概念などの名前を表す言葉です。英語の文章では主に「主語」や「目的語」として使われます。例えば「Taro plays soccer.(太郎はサッカーをします)」という文では、「Taro(太郎)」が主語の名詞、「soccer(サッカー)」が目的語の名詞です。
英語の名詞を理解することは、正確な文章を作るための第一歩です。名詞の種類や使い方を知ることで「a」「an」「the」などの冠詞の使い分け、単数形と複数形の変化、所有格の表現方法などがわかるようになります。
英語の名詞は主に以下の5種類に分けることができます。
それぞれの特徴と使い方を詳しく見ていきましょう。
普通名詞と固有名詞の違い
名詞は大きく「普通名詞」と「固有名詞」に分けられます。
この区別は英語の文法では特に重要で、冠詞の使い方や大文字で書くかどうかに関わってきます。
普通名詞とは
普通名詞は、同じ種類の人や物、場所、概念などの名前を表す名詞です。
特定の一つを指すのではなく、同じカテゴリーに属するものすべてを指します。
- book(本)
 - teacher(先生)
 - city(都市)
 - dog(犬)
 
普通名詞の使い方のポイント
- 初めて登場する場合は「a/an」をつける(可算名詞の単数形の場合)
 - 特定のものを指す場合は「the」をつける
 - 複数形や不可算名詞の総称を表す場合は冠詞なし
 
例文
- I read a book every day.(私は毎日本を1冊読みます)
 - The book on the table is mine.(テーブルの上の本は私のものです)
 - I like books.(私は本が好きです)
 
固有名詞とは
固有名詞は、特定の一つの人、場所、組織などの固有の名前を表す名詞です。
他と区別するための唯一の名前であり、常に大文字で始めます。
- Tokyo(東京)
 - Mount Fuji(富士山)
 - Mary(メアリー)
 - Japan(日本)
 
固有名詞の使い方のポイント
- 必ず大文字で始める
 - 通常、冠詞(a, an, the)はつけない(例外あり)
 - 複数形にはならない(例外あり)
 
例文
- I live in Tokyo.(私は東京に住んでいます)
 - Mr. Smith teaches English.(スミス先生は英語を教えています)
 - Japan is in Asia.(日本はアジアにあります)
 
固有名詞の例外として、「the」がつくものもあります。
- 川:the Amazon River(アマゾン川)
 - 海・湾:the Pacific Ocean(太平洋)
 - 山脈:the Alps(アルプス山脈)
 - 国の連合体:the United States(アメリカ合衆国)
 
可算名詞と不可算名詞の見分け方
英語の名詞は「数えられるかどうか」によっても分類されます。
この区別は冠詞の使い方や複数形の有無に大きく関わります。
可算名詞の特徴と使い方
可算名詞とは、1つ、2つと数えることができる名詞です。単数形と複数形があります。
可算名詞の特徴
- one、two、three などの数詞が使える
 - a、an(不定冠詞)が使える
 - 複数形がある
 
- book(本)→ books(複数形)
 - student(学生)→ students(複数形)
 - apple(りんご)→ apples(複数形)
 - chair(椅子)→ chairs(複数形)
 
可算名詞の使い方のポイント
- 単数形の場合は「a/an」または「the」をつける
 - 複数形の場合は「the」をつけるか、冠詞なしで使う
 
例文
- I have an apple.(私はりんごを1つ持っています)
 - There are three books on the desk.(机の上に3冊の本があります)
 - The students in my class are friendly.(私のクラスの生徒たちはフレンドリーです)
 - I like dogs.(私は犬が好きです)
 
不可算名詞の特徴と使い方
不可算名詞とは、液体、気体、抽象概念など、個々に区切って数えられないものを表す名詞です。
複数形はありません。
不可算名詞の特徴
- one、two、three などの数詞が使えない
 - a、an(不定冠詞)が使えない
 - 複数形がない
 
- water(水)
 - rice(米)
 - information(情報)
 - music(音楽)
 - happiness(幸福)
 
不可算名詞の使い方のポイント
- 冠詞なし、または「the」をつける
 - 量を表す場合は「a glass of」「two cups of」などの表現を使う
 
例文
- I need water.(私は水が必要です)
 - The water in this lake is clean.(この湖の水はきれいです)
 - She gave me useful information.(彼女は私に役立つ情報をくれました)
 - I want a cup of coffee.(コーヒーを1杯欲しいです)
 
可算名詞と不可算名詞の一覧表
以下に、よく使われる可算名詞と不可算名詞の例をまとめました。
| 可算名詞 | 不可算名詞 | 
|---|---|
| book(本) | water(水) | 
| pen(ペン) | coffee(コーヒー) | 
| apple(りんご) | rice(米) | 
| student(学生) | information(情報) | 
| house(家) | music(音楽) | 
| dog(犬) | advice(アドバイス) | 
| chair(椅子) | bread(パン) | 
| tree(木) | money(お金) | 
| car(車) | weather(天気) | 
| friend(友達) | love(愛) | 
集合名詞の特別な扱い
集合名詞とは、個々の人や物の集まりを一つのグループとして表す名詞です。
単数形でも複数の人や物を表すため、文脈によって単数扱いにも複数扱いにもなります。
集合名詞の種類と特徴
代表的な集合名詞
- family(家族)
 - team(チーム)
 - class(クラス)
 - group(グループ)
 - government(政府)
 - audience(観客)
 - committee(委員会)
 
集合名詞の特徴
- グループ全体を一つとして見る場合は単数扱い(単数形の動詞を使う)
 - グループ内の個々のメンバーに注目する場合は複数扱い(複数形の動詞を使う)
 
例文
- My family is large.
(私の家族は大きいです)- 家族全体を一つの単位として見ている - My family are all early risers.
(私の家族はみんな早起きです)- 家族の個々のメンバーに注目している - The team has won the game.
(そのチームは試合に勝ちました)- チーム全体として - The team are wearing their new uniforms.
(そのチームの選手たちは新しいユニフォームを着ています)- 個々の選手に注目 
ただし、アメリカ英語では集合名詞は主に単数扱いになることが多く、イギリス英語では文脈に応じて単数扱いにも複数扱いにもなることが多いです。
具象名詞と抽象名詞
名詞は表すものの性質によって「具象名詞」と「抽象名詞」に分けることもできます。
具象名詞の特徴
具象名詞とは、五感(見る・聞く・触る・味わう・嗅ぐ)で感じ取れる具体的なものを表す名詞です。
- desk(机)
 - flower(花)
 - car(車)
 - book(本)
 - rain(雨)
 
具象名詞は通常、可算名詞と不可算名詞の両方があります。
例文
- I bought a new desk yesterday.(私は昨日新しい机を買いました)
 - The flowers in the garden are beautiful.(庭の花はきれいです)
 - I like the sound of rain.(私は雨の音が好きです)
 
抽象名詞の特徴
抽象名詞とは、目に見えない概念、感情、状態、性質などを表す名詞です。
- love(愛)
 - happiness(幸福)
 - courage(勇気)
 - freedom(自由)
 - beauty(美しさ)
 - knowledge(知識)
 
抽象名詞は主に不可算名詞ですが、可算名詞として使われるものもあります。
例文
- Love is important in our lives.(愛は私たちの人生で大切です)
 - She has a lot of courage.(彼女はたくさんの勇気を持っています)
 - I value friendship very much.(私は友情をとても大切にしています)
 
名詞の単数形と複数形
英語の可算名詞には単数形と複数形があります。ここでは複数形の作り方を詳しく見ていきましょう。
大多数の名詞は規則的に複数形が作られます。基本ルールとよくある例外パターンを覚えておきましょう。
基本ルール:名詞 + s
- book → books
 - pen → pens
 - dog → dogs
 - cat → cats
 
子音 + y で終わる名詞:y → i + es
- baby → babies
 - city → cities
 - country → countries
 
ただし、母音 + y で終わる場合は単に s をつけます。
- boy → boys
 - key → keys
 
s, sh, ch, x, o で終わる名詞:+ es
- bus → buses
 - dish → dishes
 - watch → watches
 - box → boxes
 - potato → potatoes
 
ただし、一部の o で終わる名詞は単に s をつけます。
- photo → photos
 - piano → pianos
 
f または fe で終わる名詞:f/fe → v + es
- leaf → leaves
 - wife → wives
 - knife → knives
 
ただし、例外もあります。
- roof → roofs
 - chief → chiefs
 
不規則変化する名詞の複数形
一部の名詞は不規則に複数形が変化します。よく使われるものを覚えておきましょう。
| 単数形 | 複数形 | 
|---|---|
| man | men | 
| woman | women | 
| child | children | 
| foot | feet | 
| tooth | teeth | 
| mouse | mice | 
| person | people | 
| ox | oxen | 
例文
- There are three men in the room.(部屋には3人の男性がいます)
 - Children like to play outside.(子供たちは外で遊ぶのが好きです)
 - I brush my teeth twice a day.(私は1日2回歯を磨きます)
 
単数形と複数形が同じ名詞
一部の名詞は単数形と複数形が同じ形です。
- sheep(羊):one sheep, two sheep
 - fish(魚):one fish, many fish(ただし、種類を表す場合は fishes)
 - deer(鹿):one deer, three deer
 - series(シリーズ):one series, two series
 
例文
- I saw a sheep in the field.(私は畑で羊を1頭見ました)
 - There are many sheep on the farm.(農場にはたくさんの羊がいます)
 
名詞の所有格の使い方
英語では、「〜の」という所有関係を表すために「所有格」を使います。所有格には主に2つの形式があります。
‘s(アポストロフィ + s)を使う方法
人や動物など生物の所有を表す場合、通常は「’s」を使います。
- Tom’s book(トムの本)
 - the teacher’s desk(先生の机)
 - my sister’s room(私の姉の部屋)
 - the dog’s tail(犬のしっぽ)
 
複数形が「s」で終わる場合は、アポストロフィのみをつけます。
- my parents’ house(私の両親の家)
 - the students’ books(生徒たちの本)
 
例文
- This is John’s pen.(これはジョンのペンです)
 - I went to my friend’s house yesterday.(昨日友達の家に行きました)
 - Those are my parents’ cars.(あれらは私の両親の車です)
 
of を使う方法
物や抽象概念など、生物以外の所有関係を表す場合、通常は「of」を使います。
- the legs of the table(テーブルの脚)
 - the roof of the house(家の屋根)
 - the end of the story(物語の終わり)
 - the name of the book(本のタイトル)
 
例文
- I like the color of the sky.(私は空の色が好きです)
 - The pages of this book are torn.(この本のページは破れています)
 - What’s the name of your school?(あなたの学校の名前は何ですか?)
 
ただし、生物以外でも「’s」を使うことがあります。
- today’s newspaper(今日の新聞)
 - the world’s population(世界の人口)
 - a month’s holiday(1ヶ月の休暇)
 
英語の名詞に関する練習問題20選
英語の名詞に関する様々な問題を解いてみましょう。
普通名詞と固有名詞の区別、単数形と複数形、所有格、可算・不可算名詞など、英語の名詞に関する重要なポイントを確認できる問題を用意しました。
- 次の名詞のうち、固有名詞はどれですか
book, Japan, teacher, Monday, city - 次の名詞の複数形を書きなさい
child, man, foot, tooth, mouse - 次の名詞の単数形を書きなさい
leaves, shelves, knives, wives, lives - 次の名詞の正しい複数形を選びなさい
photo (photoes / photos / photose) - 次の文で集合名詞として使われているものを選びなさい
a. The team is winning the game.
b. The team are wearing their new uniforms. - 次の名詞の所有格を作りなさい
children, James, women, dog, Charles and Diana - 次の文の空欄に適切な冠詞(a, an, the, なし)を入れなさい
I saw _____ elephant at _____ zoo yesterday. - 次の名詞を「抽象名詞」と「具象名詞」に分類しなさい
love, chair, happiness, book, freedom - 次の文の下線部の誤りを訂正しなさい
My sisteres books are on the table. - 次の文の名詞を所有格に書き換えなさい
The toys of the children are in the box. - 次の名詞のうち、単数形と複数形が同じものを選びなさい
sheep, dog, deer, cat, fish - 次の文の空欄に適切な単位表現を入れなさい
May I have _____ of bread? (ひとかけらのパン) - 次の名詞は可算名詞か不可算名詞か答えなさい
time, bottle, weather, cup, music - 次の常に複数形で使われる名詞に対して、適切な動詞の形を選びなさい
The scissors (is / are) on the desk. - 次の不可算名詞に対応する「一つの〜」を表す表現を書きなさい
rice, water, furniture, jewelry - 次の文の名詞を適切な代名詞に置き換えなさい
The book is on the table. The book is interesting. - 次の文の二重下線部を所有格の代名詞に書き換えなさい
This is Tom’s bag. This bag belongs to Tom. - 次の複合名詞の複数形を書きなさい
toothbrush, sister-in-law, passer-by - of を使った所有表現と ‘s を使った所有表現のどちらが適切か選びなさい
a. The door _____ the house (of the house / of house / house’s / the house’s)
b. My friend _____ car (of car / of the car / ‘s car / the car’s) - 次の文の誤りを訂正しなさい
 - She has five informations about the concert.
 
これらの練習問題を通して、英語の名詞の様々な側面について学ぶことができます。名詞の種類や形の変化、使い方のルールをしっかり理解すれば、英語でより正確に表現できるようになります。
特に冠詞の使い方、可算・不可算の区別、複数形の作り方などは日本語にはない概念なので、重点的に練習しましょう。
名詞に関するよくある質問
- 可算名詞と不可算名詞はどうやって見分けるのですか?
 - 
基本的に「1つ、2つと数えられるかどうか」で判断します。個別に区切って数えられるものは可算名詞(apple, book, dogなど)、区切れないものは不可算名詞(water, rice, informationなど)です。
ただし、文脈によって可算にも不可算にもなる名詞もあります。
- coffee(コーヒー):不可算(飲み物として)/ 可算(「1杯のコーヒー」という意味で)
- I like coffee.(コーヒーが好きです)- 不可算
 - I ordered two coffees.(コーヒーを2杯注文しました)- 可算
 
 
迷ったときは辞書で確認するのが確実です。
 - coffee(コーヒー):不可算(飲み物として)/ 可算(「1杯のコーヒー」という意味で)
 - 不可算名詞を数える方法はありますか?
 - 
不可算名詞は直接数えられませんが、「数量表現」を使うことで量を表現できます。
- a glass of water(1杯の水)
 - two pieces of information(2つの情報)
 - three slices of bread(パン3枚)
 - a cup of coffee(コーヒー1杯)
 - two bottles of milk(牛乳2本)
 
 - 名詞の前に「a」と「an」はどう使い分けますか?
 - 
「a」と「an」の使い分けは、次の単語の発音によって決まります。
- 「a」:子音の音で始まる単語の前に使う
- a book(本)
 - a dog(犬)
 - a university(大学)- 「yu」という子音の音で始まる
 
 - 「an」:母音の音で始まる単語の前に使う
- an apple(りんご)
 - an egg(卵)
 - an hour(1時間)- 「h」は発音されないので母音の音で始まる
 
 
重要なのは、つづりではなく発音です。
 - 「a」:子音の音で始まる単語の前に使う
 - 「some」と「any」はどのように使い分けますか?
 - 
「some」と「any」は、可算名詞の複数形と不可算名詞の前で「いくつかの」「いくらかの」という意味で使います。
- 「some」:肯定文で使う
- I have some books.(私はいくつか本を持っています)
 - There is some water in the glass.(グラスに少し水があります)
 
 - 「any」:疑問文と否定文で使う
- Do you have any questions?(何か質問はありますか?)
 - I don’t have any money.(私はお金を持っていません)
 
 
ただし、依頼や申し出の疑問文では「some」を使うこともあります。
- Would you like some tea?(お茶はいかがですか?)
 
 - 「some」:肯定文で使う
 - 固有名詞に複数形はありますか?
 - 
基本的に固有名詞は特定の一つのものを指すため、複数形はありません。しかし、例外的に複数形になる場合もあります。
- There are three Marys in my class.(私のクラスには3人のメアリーがいます)
 - The Smiths are coming to dinner.(スミス一家が夕食に来ます)
 - Both Koreas participated in the Olympics.(南北両方の韓国がオリンピックに参加しました)
 
 
まとめ

英語の名詞は文法の基礎となる重要な要素です。
この記事では以下の5種類の名詞について解説しました。
- 普通名詞と固有名詞
- 普通名詞:同じ種類のもの全般を指す(book, dog, city など)
 - 固有名詞:特定の一つのものを指し、大文字で始まる(Tokyo, John, Japan など)
 
 - 可算名詞と不可算名詞
- 可算名詞:数えられる名詞(book, apple, student など)
 - 不可算名詞:数えられない名詞(water, information, music など)
 
 - 集合名詞
- 複数のものをグループとして表す名詞(family, team, class など)
 - 文脈により単数扱いにも複数扱いにもなる
 
 - 具象名詞と抽象名詞
- 具象名詞:五感で感じられる具体的なもの(desk, flower, book など)
 - 抽象名詞:目に見えない概念や感情(love, freedom, knowledge など)
 
 - 単数形と複数形
- 規則変化:book → books、city → cities など
 - 不規則変化:man → men、child → children など
 - 同形:sheep → sheep、fish → fish など
 
 
また、名詞の所有格(’s や of を使った表現)についても学びました。
英語の名詞を正しく理解することで、文の主語や目的語を適切に使い、冠詞や形容詞との組み合わせもスムーズになります。この記事で学んだ知識を活かして、さらに英語力を高めていきましょう。
名詞は英語の基礎であり、これをしっかり理解することで、より複雑な文法項目の学習もスムーズに進められます。

