TOEICスコアアップを目指している皆さん、特に初めてTOEICに挑戦しようと考えている方にとって、どの問題集を選ぶべきか悩ましい問題ですよね。
今回は、2023年10月に発売された「公式TOEIC Listening & Reading問題集10」の難易度について、実際に取り組んだ経験をもとに詳しくレビューします。最新のテスト傾向を反映したこの問題集は、TOEIC学習者にとって価値ある一冊なのか、初学者の視点で徹底解説していきます。
公式TOEIC Listening & Reading問題集10の概要

公式TOEIC Listening & Reading問題集10は、国際ビジネスコミュニケーション協会から2023年10月17日に発売された最新の公式問題集です。価格は3,300円とやや高めですが、本番と同じ形式・難易度の模試が2回分収録されており、コスパは悪くありません。表紙はブラックを基調としており、これまでの公式問題集の表紙の色をすべて集めて一つの円にした図形がアクセントになっています。
この問題集は312ページで、サイズは27×21×1.5cmと標準的な問題集のサイズです。特に注目すべき点は、最新のリスニングナレーターを使用していることと、最近難しくなってきているTOEICテストの内容に完全対応していることです。TOEIC400点以上の初心者から中級者の方におすすめですが、あまりにも英語が苦手な方には少し難しいかもしれません。
問題集の内容構成
この問題集の構成は以下のようになっています。
- TOEIC L&R Testについての説明
- サンプル問題(Part1からPart7)
- 採点・結果について
- TOEIC L&R 公開テストの申し込み・お問合せ
- 模試TEST1(200問)
- 模試TEST2(200問)
本番同様のテスト2回分が含まれているため、実際のテスト感覚で学習できるのが大きな魅力です。また、音声データはダウンロードできるようになっており、CDプレーヤーがなくても学習できる点は現代的で便利です。
公式TOEIC問題集10のメリット
公式問題集には多くのメリットがあります。実際に使ってみて感じた主なメリットを紹介します。
最新のナレーターと出題傾向を体験できる
TOEICのリスニングパートでは、アメリカ英語だけでなく、イギリス英語、カナダ英語、オーストラリア英語など、様々な国の英語の発音で問題が出題されます。この問題集は最新のナレーターの声を使用しているため、本番と同じ発音・音声でリスニング学習ができます。
古い問題集を使用すると、ナレーターの声が違い、発音が異なるため、本番でのリスニングに苦労する可能性があります。最新の公式問題集を使うことで、本番同様の環境で練習できるのは大きなメリットです。
また、TOEICのテスト内容は年々難しくなっていますが、この問題集は最新のテスト内容を反映しているため、最新の出題傾向に合わせた対策が可能です。例えば、テスト当日の時間配分の確認もできます。
自分の現在の実力を正確に把握できる
公式問題集には模試が2回分付いています。これらを解くことで、現在の自分の実力を正確に知ることができます。問題を解いて、自分の弱点を把握し、苦手分野を対策することで、さらなるスコアアップが期待できます。
また、公式問題集では、正解数によって現在の自分のおおよそのスコアを把握することもできます。例えば、600点を目指すなら各パートでどれくらい正解する必要があるか、700点を目指すならどうかといった目安も分かります。
公式TOEIC問題集10のデメリット
メリットがある一方で、デメリットもあります。特に初学者が使う際に注意すべき点を挙げていきます。
解説が不十分
公式TOEIC Listening & Reading問題集10の最大のデメリットは、解説が不十分なことです。解説があまり詳しく書かれていないため、英語が苦手な学習者が勉強した時に、不正解の選択肢がなぜ不正解なのか理解するのが難しい場合があります。
初学者の場合、単に答えを知るだけでなく、その解答に至るプロセスや文法の説明が欲しいところですが、この点が物足りないと感じるかもしれません。そのため、この問題集だけでなく、文法書や解説が詳しい参考書と併用することをおすすめします。
初心者には難易度が高い場合がある
TOEIC400点以下の方には難しく感じる場合があります。特にリスニングパートの後半やリーディングパートの長文は、英語初学者にとっては負担が大きいかもしれません。
例えば、リスニングのパート3、4では、キーワードだけでなく文脈全体を理解する必要がある問題が多く、初学者には難しいと感じることがあります。リーディングパートでも、長文を短時間で読み解く必要があり、英語に慣れていない方には時間が足りなくなることもあるでしょう。
公式TOEIC問題集10パート別の難易度分析
実際に問題を解いてみて感じた各パートの難易度を詳しく解説します。初学者の方が特に注意すべきポイントも紹介します。
Part 1(写真描写問題)
Part 1は写真を見て、4つの選択肢から最も適切な描写を選ぶ問題です。テスト1では、No.1~4が比較的解きやすいですが、No.5、6は難しい印象でした。特にNo.3、5の正解の文で出ている動詞は重要ですが、日常会話ではあまり出会う機会がない単語もあります。
600点が目標なら5問正解、700点が目標なら6問正解が目安になります。初学者の方は、基本的な動詞や前置詞の使い方を事前に学習しておくと良いでしょう。

Part 2(応答問題)
Part 2は質問や発言に対する応答を選ぶ問題です。テスト1のPart 2は標準的な難易度で、序盤は直接的な応答が多く、重要な単語さえ聞き取れれば正解できます。後半になるにつれて難易度が上がり、文全体の内容理解や言葉の裏の意味を理解することが求められます。
600点が目標なら19問、700点が目標なら21問正解が目安になります。初学者の方は、よく使われる質問表現(What、When、Whyなど)と、それに対する応答パターンを覚えておくと良いでしょう。

Part 3(会話問題)
Part 3は2人または3人の会話を聞いて、3つの質問に答える問題です。キーワードを拾って解ける問題が全体の約6割(23問中)あり、難易度は標準的です。ただし、言い換えがされたり、セリフやグラフィックの問題は難しく感じることがあります。
特にグラフィック問題は3問とも解きやすい傾向がありましたので、600点目標の方でも全問正解を目指せるでしょう。一方、セリフ問題は難しく、ここでペースを崩さないことが大切です。
600点が目標なら31問正解、700点が目標なら33問正解が目安になります。初学者の方は、会話の冒頭で話題が何かを把握し、Whyの質問には特に注意して聞くことをおすすめします。

Part 4(説明文問題)
Part 4は短いトークやアナウンスを聞いて、3つの質問に答える問題です。テスト1のPart 4はかなり難しいと感じました。公開テストでもここまでの難しさは珍しいかもしれません。
キーワードを待ち構えている人を引っかけてくるのが難しさの特徴です。例えば、「businessという単語が出たから(A)が正解だ!」と思っても、選択肢にbusinessを含むものが2つあったり、businessと言った直後に違う単語を言っていて、そちらが正解の根拠だったりすることがあります。
キーワードを聞いて解ける問題は15問(No.71, 72, 73, 74, 76, 77, 78, 79, 82, 83, 86, 92, 95, 96, 100)と少なめで、その中にも引っかけ問題が多くあります。セリフの意図問題も難しく、内容を理解していないと厳しいでしょう。一方、グラフィック問題は比較的簡単だったので、ここはしっかり得点したいところです。
600点が目標なら19問正解、700点が目標なら21問正解が目安になります。初学者の方は、最初から全問正解を目指すのではなく、まずは解きやすいグラフィック問題と、明確にキーワードがある問題から確実に点を取る戦略がおすすめです。

Part 5(短文穴埋め問題)
Part 5は短文の空所に入る最も適切な語句を選ぶ問題です。文法問題が19問、語彙問題が11問という構成でした。文法問題の内訳は、品詞問題9問、動詞問題1問、前置詞・接続詞問題7問、その他2問(間接疑問、関係代名詞)です。
品詞問題は基本レベルがほとんどですが、一部難しいものもあります。語彙問題も基本的なビジネス用語が多いですが、中には難しい単語も含まれています。全体的に標準的な難易度と言えるでしょう。
初学者の方は、基本的な品詞の区別(名詞、動詞、形容詞、副詞)と、よく出る前置詞・接続詞のパターンをしっかり学習しておくことをおすすめします。また、ビジネスでよく使われる基本単語を覚えておくと役立ちます。

Part 6(長文穴埋め問題)
Part 6は文章の空所に入る最も適切な語句を選ぶ問題です。ビジネスレターやEメール、社内文書などの形式で出題されることが多いです。文脈を理解する必要があるため、Part 5よりも難しく感じる方も多いでしょう。
特に文章全体の流れを把握していないと解けない問題もあります。初学者の方は、まず文章の種類(お礼状、案内、依頼など)を把握し、その上で前後の文脈から適切な語句を選ぶ練習をすると良いでしょう。

Part 7(長文読解問題)
Part 7は様々な文書を読んで質問に答える問題です。単一の文書に関する問題と、複数の文書を比較する問題があります。このパートは時間との勝負になることが多く、長文を効率よく読む技術が求められます。
初学者にとっては最も難しく感じるパートかもしれませんが、まずは文書の種類(広告、Eメール、記事など)を素早く判断し、質問文を先に読んでから本文中の該当箇所を探す「スキャニング」の技術を身につけると効率的です。
また、複数文書問題では、それぞれの文書の関連性を把握することが重要です。例えば、同じイベントに関する異なる立場からの文書や、問題とその解決策を示す文書の組み合わせなどがよく出題されます。

初心者が公式TOEIC問題集10を使いこなすコツ
公式問題集は難易度が高く感じられるかもしれませんが、初心者でも効果的に使える方法があります。ここでは、初学者が公式問題集を最大限に活用するためのコツを紹介します。
基礎固めを先にしておく
いきなり公式問題集に取り組むのではなく、まずは基礎的な文法書や単語帳で英語の基礎を固めることをおすすめします。特に、TOEICでよく出る文法項目(時制、受動態、関係詞など)や、ビジネス・日常生活に関する基本単語を学習しておくと、公式問題集に取り組む際の理解度が格段に上がります。
「はじめて受けるTOEIC L&Rテスト全パート完全攻略」のような初心者向けの参考書で基礎を学んでから、公式問題集に取り組むというステップも効果的です。
パートごとに分けて学習する
200問を一度に解くのではなく、パートごとに区切って学習することをおすすめします。例えば、最初はPart 1と2のリスニング基礎部分だけを集中的に練習し、慣れてきたらPart 3、4と進むといった方法です。
リーディングセクションも同様に、まずはPart 5の短文問題から始めて、慣れてきたらPart 6、最後にPart 7という順序で取り組むと良いでしょう。
解説が不十分な場合は補助教材を活用する
公式問題集の解説が不十分と感じた場合は、解説詳細な参考書や文法書、オンライン学習サイトなどを併用すると効果的です。例えば、わからない文法項目があれば文法書で確認し、語彙がわからなければ辞書や単語帳で調べるといった方法です。
また、YouTubeなどでTOEIC対策の解説動画も多く公開されていますので、それらを参考にするのも一つの方法です。
繰り返し学習が鍵
一度解いただけでは定着しません。特に間違えた問題は、なぜ間違えたのかを分析し、同じミスを繰り返さないように注意しましょう。公式問題集は2回分の模試があるので、1回目で間違えた部分を復習してから2回目に取り組むと効果的です。
レビューにもあるように、「公式の問題を100点取れるまで繰り返し解く」という学習法で点数を伸ばしている方もいます。繰り返し学習することで、問題パターンに慣れ、解答のコツをつかむことができます。
公式TOEIC問題集10と他の問題集との比較
公式問題集以外にも様々なTOEIC対策の参考書がありますが、それぞれに特徴があります。ここでは、公式問題集と他の問題集を比較してみましょう。
初心者向け問題集との違い
「はじめて受けるTOEIC L&Rテスト全パート完全攻略」のような初心者向けの問題集は、解説が詳しく、英語が苦手な方でも理解しやすいよう工夫されています。値段も公式問題集より安い場合が多いです。
一方、公式問題集は本番と同じ難易度・形式で学習できるメリットがありますが、解説は簡潔です。初学者は、まず初心者向け問題集で基礎を固め、その後公式問題集に取り組むというステップアップ方式がおすすめです。
市販の模試問題集との違い
市販の模試問題集は、公式問題集より安価で、解説も詳しい場合が多いです。また、頻出パターンに特化した問題が多く、効率的に得点アップを目指せる場合もあります。
しかし、ナレーターの声や問題の難易度が本番と異なることがあります。公式問題集は国際ビジネスコミュニケーション協会が発行しているため、本番に最も近い環境で練習できる点が大きなメリットです。
効果的な学習法:公式問題集10を使いこなす
公式問題集を最大限に活用するための具体的な学習法を紹介します。初学者の方も、この方法に沿って取り組めば効率的にスコアアップを目指せるでしょう。
本番を想定した時間配分で解く
実際のTOEICテストはリスニング45分、リーディング75分の計120分で行われます。最初から時間を測って解くのは難しいかもしれませんが、慣れてきたら本番と同じ時間配分で解く練習をすることをおすすめします。
特にリーディングセクションは時間との戦いになりますので、時間を意識した練習が重要です。例えば、Part 5は1問あたり約30秒、Part 6は1問あたり約1分、Part 7は1問あたり約50秒が目安です。
解答後の分析が重要
単に問題を解いて答え合わせをするだけでなく、なぜその答えになるのかを理解することが大切です。特に間違えた問題は、どこで躓いたのかを分析しましょう。
例えば、リスニングで聞き取れなかった単語があれば書き出して覚える、文法で間違えたパターンがあればそのルールを確認するなど、次に同じミスをしないための対策を立てることが重要です。
音声教材の活用法
公式問題集の音声はダウンロードできるようになっていますので、スマートフォンなどで何度も聞き返すことができます。通勤・通学時間や家事の合間など、隙間時間を活用してリスニング練習をすると効率的です。
特に、最初は音声に合わせて問題を解き、慣れてきたら音声だけを聞いて内容を理解する練習をすると、リスニング力が向上します。
公式TOEIC問題集10に関するよくある質問
公式TOEIC問題集10に関してよく寄せられる質問に答えます。
- 初心者でも公式問題集10は使えますか?
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TOEIC400点以上の方であれば十分に活用できますが、それ以下の方や英語が非常に苦手な方は、まず初心者向けの参考書で基礎を固めることをおすすめします。ただし、将来的にはTOEICの本番レベルに慣れるために公式問題集を使うことは重要です。
- 公式問題集10の難易度は本番と同じですか?
-
基本的に本番と同じ難易度に設定されていますが、一部のパート(特にPart 4)は本番よりもやや難しく感じる場合もあります。しかし、公式問題集で対策すれば本番でも十分に対応できるでしょう。
- 公式問題集だけで勉強して高得点は取れますか?
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公式問題集は本番形式の問題に慣れるには最適ですが、解説が不十分なため、基礎知識がない状態では効果的に学習できない場合があります。特に初学者は、基礎的な文法書や単語帳、解説が詳しい参考書と併用することをおすすめします。
600点以上を目指す場合は、公式問題集を繰り返し解いて問題パターンに慣れることが重要です。レビューによると、「公式問題集を隅々まで覚えるくらいに学べば700点位までは目指せる」という意見もあります。
- 公式問題集と市販の問題集、どちらが良いですか?
-
どちらも一長一短があります。公式問題集は本番に最も近い環境で練習できますが、解説が簡潔です。市販の問題集は解説が詳しく、特定のパートに特化したものもありますが、難易度や形式が本番と異なる場合があります。
理想的には、市販の問題集で基礎を固めた後、公式問題集で本番形式に慣れるという組み合わせがおすすめです。
まとめ

公式TOEIC Listening & Reading問題集10について、詳しくレビューしてきました。最後に、この問題集のポイントをリストでまとめます。
- 公式TOEIC問題集10は2023年10月に発売された最新の公式問題集
- 価格は3,300円で、本番と同じ形式・難易度の模試が2回分収録
- 最新のリスニングナレーターを使用しており、本番同様の環境で練習可能
- 最近難しくなってきているTOEICテストの内容に完全対応
- TOEIC400点以上の初心者から中級者におすすめ
- メリットは、最新の出題傾向を体験できること、自分の実力を正確に把握できること
- デメリットは、解説が不十分なこと、初心者には難易度が高い場合があること
- パート別の難易度は様々で、特にPart 4とPart 7は初学者には難しい
- 初心者は基礎固めをしてからパートごとに分けて学習するのがおすすめ
- 解説が不十分な場合は補助教材を活用し、繰り返し学習が重要
- 公式問題集と初心者向け問題集を組み合わせることで効果的に学習できる
- 本番を想定した時間配分で解き、解答後の分析をしっかり行うことが大切
公式TOEIC Listening & Reading問題集10は、TOEIC対策には欠かせない一冊です。特に本番と同じ環境で練習したい方、最新の出題傾向を知りたい方には強くおすすめします。初学者の方は、基礎固めをしてから取り組むことで、効果的にスコアアップを目指せるでしょう。TOEICスコアアップのために、ぜひこの問題集を活用してみてください。