TOEICテストは英語能力を測る代表的な試験として、就職活動やビジネスシーンで幅広く活用されています。しかし初めて受験する方にとって、試験の構成や時間配分を理解することは容易ではないでしょう。TOEICは2時間という限られた時間内に200問もの問題に答える必要があるため、効率的な時間配分が非常に重要です。
この記事では、英語初学者の方向けに、TOEICのリスニングとリーディングの問題数や適切な時間配分を一覧表にまとめ、攻略のコツについても詳しく解説していきます。
TOEICテストの基本構成

TOEICテストは「リスニングセクション」と「リーディングセクション」の2つのパートに分かれています。合計200問を約2時間で解答するマークシート形式の試験です。
セクション | 問題数 | 制限時間 |
---|---|---|
リスニング | 100問 | 約45分 |
リーディング | 100問 | 75分 |
合計 | 200問 | 約120分 |
特徴としては、リスニングの音声は一度しか流れず、解答のペースを自分で調整することができません。一方、リーディングは自分のペースで進められますが、問題数が多いため時間管理が非常に重要となります。また、途中休憩はなく、約2時間連続で試験が行われる点にも注意が必要です。
それでは各セクションの内容について詳しく見ていきましょう。
リスニングセクションの問題構成と時間配分
リスニングセクションは4つのパートから構成されており、合計100問を約45分で解答します。各パートの問題形式や問題数は以下の通りです。
Part 1:写真描写問題(6問)
写真描写問題では、問題用紙に印刷された写真について、4つの短い説明文が音声で読まれます。その中から、写真の内容を最も適切に描写しているものを選ぶ問題です。
写真の内容は人物が何かの動作をしている場面や、風景、物などさまざまです。人物が写っている場合は「誰が何をしているか」に注目し、風景や物の場合は「何がどうなっているか」という状態を聞き取ることがポイントとなります。
このパートの目安時間は約3分です。写真を事前に確認して内容を予測しておくと、音声が流れたときに素早く判断できるでしょう。

Part 2:応答問題(25問)
応答問題では、短い質問や発言に対する適切な応答を3つの選択肢から選びます。質問文も選択肢も問題用紙には印刷されておらず、すべて音声のみで出題されます。
出題される質問には、Yes/No疑問文やWh疑問文(What, Where, Whenなど)、意見や命令、勧誘、提案などがあります。近年は、間接的な応答が正解となるケースも増えているため注意が必要です。
このパートの目安時間は約9分です。質問の最初の疑問詞に注意を向けると、何を尋ねられているのかがわかりやすくなります。

Part 3:会話問題(39問)
会話問題では、2人または3人による会話が放送され、その内容に関する質問に答えます。会話は一度だけ放送され、各会話につき3つの質問があります。質問と選択肢は問題用紙に印刷されています。
会話の内容と問題用紙に印刷された図表などを関連づけて解答する問題も含まれています。ビジネスシーンでの会話が多く出題される傾向があります。
このパートの目安時間は約17分です。問題文と選択肢を先に読んでおくと、会話の中で注目すべきポイントがわかるため効率的です。

Part 4:説明文問題(30問)
説明文問題では、アナウンスやナレーションなどのモノローグ(一人語り)が放送され、その内容に関する質問に答えます。各説明文につき3つの質問があり、説明文で聞いた情報と問題用紙に印刷された図表などを関連づける問題も出題されます。
このパートの目安時間は約16分です。Part 3と同様に、問題文と選択肢を事前に読んでおくことで、重要な情報を聞き逃さないようにしましょう。

リスニングセクションの時間配分一覧表
リスニングセクションでは音声の指示に従って問題が進むため、自分のペースで解答時間を調整することはできません。そのため、各問題をいかに素早く正確に解くかがポイントとなります。
リーディングセクションの問題構成と時間配分
リーディングセクションは3つのパートから構成されており、合計100問を75分で解答します。リスニングと違い、自分のペースで解くことができるため、時間管理がとても重要になります。
Part 5:短文穴埋め問題(30問)
短文穴埋め問題では、1つの文章の中に空欄があり、4つの選択肢から適切な語句を選びます。文法問題や語彙問題が中心で、品詞の識別、動詞の時制、前置詞の使い方などが問われます。
1問あたり20秒程度を目安に、合計約10分でこのパートを終えるようにしましょう。空欄の前後の単語を見れば、どの品詞が必要かがわかる場合が多いです。

Part 6:長文穴埋め問題(16問)
長文穴埋め問題では、ひとつの長文の中に複数の空欄があり、それぞれに適切な語句を選択肢から選びます。各長文には4つの設問があります。
ビジネスレターやメール、お知らせなど、実用的な文書が題材となることが多く、文脈を理解した上で適切な語句を選ぶ必要があります。
このパートには約10分かけることをおすすめします。文章全体の意味を理解することが重要です。

Part 7:読解問題(54問)
読解問題は最も問題数が多く、「1つの文書に関する問題」が29問、「複数の文書に関する問題」が25問の合計54問出題されます。
ビジネスレター、メール、広告、記事など様々な種類の文書を読み、その内容に関する質問に答える問題です。複数の文書が関連している場合は、文書間の関係性を理解する必要があります。
このパートが最も時間を要するため、「1つの文書に関する問題」には約30分、「複数の文書に関する問題」には約25分をかけることをおすすめします。

リーディングセクションの時間配分一覧表
パート | 問題形式 | 問題数 | 目安時間 |
---|---|---|---|
Part 5 | 短文穴埋め問題 | 30問 | 約10分 |
Part 6 | 長文穴埋め問題 | 16問 | 約10分 |
Part 7 | 読解問題(1つの文書) | 29問 | 約30分 |
読解問題(複数の文書) | 25問 | 約25分 | |
合計 | 100問 | 75分 |
リーディングセクションでは自分のペースで問題を解くことができますが、Part 7の問題数が多いため、Part 5とPart 6をできるだけ速く解き、Part 7に十分な時間を確保することが重要です。
効果的な時間管理のコツ
TOEICで高得点を取るためには、効果的な時間管理が欠かせません。以下では、リスニングとリーディング、それぞれのセクションでの時間管理のコツを紹介します。
リスニングセクションのコツ
リスニングセクションでは音声に従って進むため、自分のペースで時間調整することはできませんが、以下のような工夫で効率よく解答することができます。
- 先読みの活用:特にPart 3とPart 4では、音声が流れる前に問題文と選択肢に目を通しておくと、何に注目して聞けばよいかが明確になります。
- 写真の事前確認:Part 1では、写真が何を描写しているのかをあらかじめ観察し、予測しておくことで理解が早くなります。
- キーワードへの注目:Part 2では、質問の最初に出てくる疑問詞(What, Where, Whenなど)に注目すると、何について尋ねられているのかがすぐにわかります。
- 素早いマーキング:答えがわかったら、すぐにマークシートに記入しましょう。答えを覚えておいて後でまとめて記入すると、忘れてしまったり混乱したりする可能性があります。
リーディングセクションのコツ
リーディングセクションは自分のペースで解答できるため、時間配分がより重要になります。
- 時間配分を意識する:各パートにかける時間を事前に決めておき、その時間内で解答するよう心がけましょう。時間が来たら、たとえ全問解き終わっていなくても次のパートに進むことも必要です。
- Part 5は素早く解く:Part 5は比較的シンプルな問題が多いので、1問あたり約20秒を目安に解答しましょう。空欄の前後を見るだけで正解がわかる問題も多いです。
- Part 7は設問から先に読む:長文を全て読む前に、設問と選択肢を先に確認しておくと、何を探しながら読めばよいかがわかります。
- 難問は後回しにする:解答に時間がかかりそうな難しい問題は一旦飛ばし、解ける問題から解いていきましょう。時間に余裕があれば、後から難問に取り組むことができます。
- マークミスに注意:問題番号とマークシートの番号がずれないように定期的に確認しましょう。特に問題を飛ばした場合は、マークミスが起きやすいので注意が必要です。
初めてTOEICを受ける人のための準備ポイント
TOEICを初めて受験する方にとって、試験の全体像を把握することは非常に重要です。以下では、初心者の方のための準備ポイントをいくつか紹介します。
試験の流れを理解する
TOEICの試験は一般的に次のような流れで行われます。
- 試験会場に入室し、指定された座席に着く
- 試験官の指示に従い、解答用紙に必要事項を記入する
- リスニングセクション(約45分)
- リーディングセクション(75分)
- 試験終了
リスニングセクションとリーディングセクションの間に休憩はありませんので、約2時間集中力を維持することが必要です。
公式問題集で練習する
TOEICの出題形式や難易度を理解するためには、公式問題集を使って練習するのが最も効果的です。公式問題集には本番と同じ形式の問題が収録されており、実際の試験の雰囲気を体験することができます。
特に、マークシートの使い方や、リスニングの音声スピードに慣れておくことが重要です。本番と同じ時間配分で模擬試験を行うことで、自分の強みと弱みを把握することができるでしょう。
目標スコアを設定する
TOEICのスコアは10〜990点の範囲で評価され、リスニングとリーディングそれぞれ5〜495点の合計点で表されます。初めて受験する方の平均的なスコアは400〜500点程度ですが、英語の学習歴や目的によって目標とするスコアは異なります。
以下は、TOEICスコアと英語力の目安です。
TOEICスコア | 英語力の目安 | CEFRレベル |
---|---|---|
900点以上 | ビジネスでの高度な英語使用が可能 | C1〜C2 |
730〜900点 | 一般的なビジネス環境で支障なく英語を使用可能 | B2〜C1 |
550〜730点 | 日常的な会話や簡単なビジネス英語が理解できる | B1〜B2 |
400〜550点 | 簡単な会話や基本的な文章が理解できる | A2〜B1 |
400点未満 | 基礎的な英語力の段階 | A1〜A2 |
自分の現在の英語力を考慮しながら、実現可能な目標を設定しましょう。
時間管理を意識した練習をする
TOEICでは時間管理が非常に重要です。練習の際も、本番と同じ時間配分で解答する習慣をつけましょう。特にリーディングセクションでは、制限時間内に全ての問題を解き切れるよう、スピードを意識した練習が必要です。
タイマーを使って、各パートにかける時間を計測しながら練習するとより効果的です。時間内に解き切れない場合は、苦手なパートを集中的に学習したり、解答スピードを上げる練習をしたりすることで改善できるでしょう。
TOEICの各パート別攻略法
各パートの特徴を理解し、それに合わせた攻略法を身につけることで、より効率的に得点を伸ばすことができます。ここでは、各パートの具体的な攻略法を紹介します。
Part 1:写真描写問題の攻略法
- 写真をよく観察し、「誰が」「何を」「どのように」しているかを把握する
- 人物の行動、物の状態、場所などに注目する
- 写真に写っていないものを描写する選択肢は不正解
- 音声を聞きながら写真と照らし合わせ、最も適切なものを選ぶ
Part 2:応答問題の攻略法
- 質問の種類(Yes/No疑問文、Wh疑問文、依頼など)を素早く見極める
- 質問の最初の単語(What, Where, When, Would, Couldなど)に注目する
- 質問に対して直接的な答えになっているか確認する
- 間接的な応答が正解となるケースもあるので注意する
Part 3/4:会話問題・説明文問題の攻略法
- 問題文と選択肢を先に読んでおき、何を聞き取るべきかを把握する
- Who(誰が)、What(何を)、When(いつ)、Where(どこで)、Why(なぜ)、How(どのように)に関する情報を意識して聞く
- 数字や固有名詞、時間などの具体的な情報に注意を払う
- 話者の意図や暗示されている内容も重要
Part 5:短文穴埋め問題の攻略法
- 空欄の前後の単語を見て、必要な品詞を判断する
- 主語と動詞の一致、時制の一貫性に注意する
- 前置詞、接続詞、関係代名詞などの機能語の使い方を確認する
- 同じような意味の選択肢が複数ある場合は、文脈から最も適切なものを選ぶ
Part 6:長文穴埋め問題の攻略法
- まず文章全体に目を通し、トピックや文書の種類を把握する
- 空欄の前後だけでなく、文章全体の文脈を考慮する
- 接続詞や指示語(it, this, that, these, thoseなど)の指す内容を正確に理解する
- ビジネス文書特有の表現や定型文に慣れておく
Part 7:読解問題の攻略法
- 設問と選択肢を先に読んでから本文を読む
- 文書の種類(メール、広告、記事など)を見極め、その特徴を理解する
- 見出しや太字、箇条書きなどの目立つ部分に注目する
- 複数の文書がある場合は、各文書の関係性を把握する
- 指示語や代名詞が何を指しているかを正確に理解する
TOEICの時間配分や問題構成に関するよくある質問
TOEICの時間配分や問題構成に関するよくある質問とその回答をまとめました。
- TOEICのリスニングは速くて聞き取れません。どうすればよいですか?
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リスニングの音声は確かに速く感じることがありますが、日常的に英語の音声に触れることで徐々に慣れていくことができます。公式問題集のリスニング音声を繰り返し聞いたり、英語のポッドキャストやニュースを聞いたりして耳を慣らしましょう。また、問題文や選択肢を先に読んでおく「先読み」テクニックも非常に効果的です。全ての単語を聞き取ろうとするのではなく、キーワードを拾いながら全体の意味を理解する練習も大切です。
- リーディングセクションで時間が足りなくなります。どうすればよいですか?
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リーディングセクションで時間が足りなくなるのはよくある悩みです。効率的に解くためには、Part 5とPart 6はできるだけ速く解き、Part 7に十分な時間を確保することが重要です。Part 7では、全ての文章を詳細に読む前に設問を確認し、必要な情報だけを探す「スキミング」や「スキャニング」のテクニックを使うと効率的です。また、難しい問題に時間をかけすぎず、一度パスして後から時間に余裕があれば取り組むという方法も有効です。日頃から速読の練習をしておくことも大切です。
- マークシートでミスしないためにはどうすればよいですか?
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マークシートのミスを防ぐためには、定期的に問題番号とマークシートの番号が合っているか確認することが大切です。特に問題を飛ばした場合や、リーディングセクションでPart 7から先に解いた場合などは注意が必要です。また、問題用紙に自分の解答をメモしておくと、後から確認しやすくなります。リスニングセクションでは、解答がわかったらすぐにマークすることをおすすめします。マークシートを塗りつぶす際は、はみ出さないようにしっかりと塗りつぶし、消しゴムでの修正はきれいに行いましょう。
- TOEICの問題構成や時間配分は変更されることがありますか?
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TOEICの基本的な構成(リスニング100問・約45分、リーディング100問・75分)は長年変わっていませんが、2016年5月に各パートの問題数や形式に一部変更がありました。現在のTOEICでは、よりビジネスの実践的な場面を反映した問題が増えています。最新の情報は公式ウェブサイトや公式問題集で確認することをおすすめします。今後も微調整される可能性はありますが、大幅な変更の場合は十分な告知期間が設けられるでしょう。
- 初めてTOEICを受ける場合、どのくらいの勉強期間が必要ですか?
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初めてTOEICを受ける場合の適切な勉強期間は、現在の英語力や目標スコアによって異なります。基礎的な英語力がある方であれば、試験形式に慣れるために1〜2ヶ月の準備期間で十分でしょう。しかし、英語の基礎からしっかり学び直す必要がある場合は、3〜6ヶ月程度の期間を確保することをおすすめします。大切なのは毎日コンスタントに学習を続けることです。公式問題集で実戦形式の練習を行い、自分の弱点を把握した上で効率的に学習を進めましょう。
まとめ

TOEICテストで好成績を収めるためには、各パートの特徴を理解し、効率的な時間配分で解答することが重要です。この記事のポイントをまとめると以下のようになります。
- TOEICテストは、リスニング(約45分・100問)とリーディング(75分・100問)の2つのセクションで構成されている
- リスニングセクションは4つのパート、リーディングセクションは3つのパートからなる
- リスニングセクションでは「先読み」が効果的なテクニック
- リーディングセクションでは自分のペースで解答できるため、時間配分の管理が非常に重要
- Part 5とPart 6はできるだけ速く解き、Part 7に十分な時間を確保することがおすすめ
- 各パートの目安時間を意識して解答することで、時間内に全問解き切ることができる
- 初めて受験する方は、公式問題集で試験形式や時間配分に慣れることが大切
- 難しい問題に時間をかけすぎず、解ける問題から解いていくことも重要な戦略
TOEICは「時間との戦い」とも言われますが、適切な時間配分と効率的な解答テクニックを身につければ、必ず高得点を狙うことができます。この記事で紹介した時間配分はあくまで目安ですので、自分の得意・不得意に合わせて調整してみてください。何度も練習を重ねることで、自分に合った最適な時間配分が見つかるでしょう。
TOEICに挑戦する皆さんの健闘を祈ります!