英検4級は中学英語の基礎レベルを測る重要な資格試験です。英語学習を始めて間もない方や、基礎力を確認したい学生にとって最適な目標となります。
本記事では、英検4級のレベルや試験内容、合格に必要な勉強法まで、初心者にもわかりやすく解説します。これから英検にチャレンジする方は、ぜひ参考にしてください。
英検4級とは?基礎から学ぶ英語検定

英検4級は公益財団法人日本英語検定協会が実施する英語検定試験の中で、下から2番目のレベルに位置する試験です。この級では「簡単な英語を理解することができ、またそれを使って表現することができる」能力が求められます。
中学校の英語カリキュラムでいえば「中学中級程度」の内容で、使える英語の登竜門とも言える位置づけです。
英検4級の位置づけ
英検4級は英語学習の初期段階にある学習者が目指すべき目標として適切なレベルです。5級が最も基礎的な級であるのに対し、4級はもう一歩進んだ英語力を測る指標となります。
中学1〜2年生の学習内容を理解していれば十分に挑戦できるレベルで、学校での英語学習の成果を確認する良い機会となります。
英検4級の特徴
英検4級の特徴は、日常生活で使われる基本的な英語表現や単語の理解度を測る点にあります。学校や家族、友達、買い物、スポーツなど身近なトピックを題材にした問題が中心で、実用的な英語力の基礎が身についているかを確認します。
また、2016年からはスピーキングテストも導入され、より総合的な英語力の評価が可能になりました。
英検4級のレベルと難易度
英検4級の難易度は、英検全体の中では比較的易しい方に位置しますが、英語学習初心者にとっては適度なチャレンジとなるレベルです。5級と比較すると試験時間が長くなり、問題数も増加します。
また、長文読解問題が新たに加わるなど、より実践的な英語力が求められるようになります。
必要な単語数
英検4級に合格するためには、約600〜1,300語程度の単語を理解していることが必要といわれています。これは中学1〜2年生の教科書に登場するレベルの単語が中心となります。例えば以下のような単語や表現が含まれます。
- tomorrow(明日)
- same(同じ)
- busy(忙しい)
- take part in(参加する)
- look forward to(楽しみに待つ)
- popular(人気がある)
これらの単語は日常会話でよく使われる基本的なものばかりですが、確実に覚えておくことが合格への近道です。
中学英語とのレベル比較
英検4級は中学1〜2年生の学習内容に相当するとされています。基本的な文法事項としては、過去形・未来形などの時制表現や比較表現、不定詞・動名詞の基本的な用法などが出題されます。
5級では扱われなかったこれらの文法項目が新たに加わるため、中学英語の基礎をしっかり固めておく必要があります。
英検4級の試験内容と形式
英検4級の試験は、一次試験のリーディングとリスニングで構成されており、合計約65分の試験時間があります。また、一次試験の合否に関わらず、希望者はスピーキングテストも受験することができます。
それぞれのセクションの詳細を見ていきましょう。
リーディングセクション
リーディングセクションは制限時間35分で、4つの大問から構成されています。
短文の語句空所補充(15問)
- 短文や会話文の空欄に適切な語句を選ぶ問題
- 例:My father is a ( ) of a sports club. He plays tennis there every Wednesday night.
- 選択肢:1 festival 2 picnic 3 member 4 group
会話文の文空所補充(5問)
- 会話の流れに合う適切な表現を選ぶ問題
- 例:Boy 1: Is that your new coat, Tom? ( ) Boy 2: Thanks. I like it, too.
- 選択肢:1 It’s really nice. 2 It’s cloudy today. 3 I’ll see you soon. 4 I have one, too.
日本文付き短文の語句整序(5問)
- 日本語の意味に合うように単語を並べ替える問題
長文の内容一致選択(10問)
- 掲示・案内、Eメール(手紙文)、説明文の3種類の長文を読み、内容に関する質問に答える問題
このリーディングセクションでは、基本的な文法知識に加え、文脈を理解する能力も問われます。特に大問4の長文読解は英検5級には無かった形式なので、しっかりと対策が必要です。
リスニングセクション
リスニングセクションは約30分で、3つの大問から構成されています。
会話の応答文選択(10問)
- 短い会話を聞き、最後の発言に対する応答として最も適切なものを選ぶ問題
- 各会話は2回放送され、補助イラストが付いています
会話の内容一致選択(10問)
- 会話を聞き、その内容に関する質問に答える問題
- 各会話は2回放送されます
文の内容一致選択(10問)
- 短いパッセージを聞き、その内容に関する質問に答える問題
- 各パッセージは2回放送されます
- 物語文や説明文が題材となります
リスニングセクションでは、5級と比べて問題数が増え、より長い会話や説明文を理解する必要があります。
イラストに頼れる問題は減るため、より耳からの情報を正確に捉える能力が求められます。
スピーキングテスト
2016年度から導入されたスピーキングテストは、一次試験の合否に関わらず任意で受験することができます。所要時間は約4分で、オンライン上で実施されます。
テストの内容は以下の通りです。
- 25語程度のパッセージの音読(1問)
- 音読したパッセージの内容に関する質問への応答(2問)
- イラスト中の人物の行動や物の状況についての質問(1問)
- 受験者自身や日常生活の身近な事柄についての質問への応答(1問)
スピーキングテストは合否判定には影響しませんが、英検3級以上では面接形式の二次試験があるため、その予行練習として役立ちます。
英語を話す経験を積むという意味でも、積極的に受験することをおすすめします。
英検4級の合格点と合格率
英検4級の合格には、リーディングとリスニングの総合スコアが基準に達する必要があります。
2016年度からは「英検CSEスコア」という評価システムが導入され、より公平な評価が行われるようになりました。
合格点の仕組み(CSEスコア)
2016年以降、英検では各級に設定された合格スコアにより合否が判断されるCSEスコア制度が導入されました。このシステムでは、リーディングやリスニングなどの各技能ごとにスコアが均等に配分されます。
従来の方式では、配点の高い技能で高得点を取れば他の技能の低得点をカバーできましたが、新しい制度ではバランスよく得点する必要があります。具体的には、各技能で60%以上の正答率が合格の目安となります。つまり、リーディングもリスニングも一定以上の得点を取らなければならないのです。
年齢別・学年別の合格率
英検4級の全体の合格率は、約65〜70%程度と推定されています。日本英語検定協会は2016年以降、公式な合格率を発表していませんが、2015年度の最後の公式発表では合格率が69.9%でした。これは英検5級の合格率(約80%)よりも10%ほど低い数字です。
年齢別で見ると、小学生の合格率は過去のデータでは約62%だったとされています(2013年のデータ)。全体の合格率と比べてやや低い傾向にあります。
年間約40万人が英検4級を受験していると言われており、70%の合格率を仮定すると、約28万人が毎年英検4級に合格していることになります。これは、多くの学習者にとって4級が適切なレベル設定であることを示しています。
英検4級の効果的な勉強法
英検4級に合格するためには、効率的な勉強法が鍵となります。各セクションごとに適切な対策を行い、バランスよく学習することが重要です。
ここでは、セクションごとの勉強法と効果的な学習のコツを紹介します。
リーディング対策
リーディングセクションでは、文法知識と語彙力が重要です。効果的な勉強法として以下のものがあります。
- 英検4級レベルの単語帳を使って、600〜1,300語程度の単語をマスターする
- 中学1〜2年生の教科書や参考書で基本的な文法を確認する
- 過去問や問題集を解き、出題パターンに慣れる
- 長文読解に備えて、毎日少しずつ英文を読む習慣をつける
特に大問4の長文読解は、英検5級からの新たな挑戦となります。「掲示・案内」「Eメール(手紙文)」「説明文」の3種類の文章に慣れておくことが大切です。
時間配分にも注意し、全問に取り組めるようにしましょう。
リスニング対策
リスニングセクションの対策としては、以下の方法が効果的です。
- 英検の公式問題集やCDを活用して、出題形式に慣れる
- 日常的に英語の音声を聞く習慣をつける(英語の歌、アニメ、簡単な映画など)
- 聞き取った英語を書き取る練習(ディクテーション)を行う
- 単語の正確な発音を確認し、音と綴りの関係を理解する
リスニングでは集中力も重要です。問題数が多いため、30分間集中し続ける訓練も必要です。
また、各問題は2回ずつ放送されるので、1回目で大まかな内容を、2回目で細部を確認するといった聞き方の工夫も効果的です。
単語学習のコツ
英検4級合格のためには、単語学習が非常に重要です。効率よく単語を覚えるコツをいくつか紹介します。
- 音声付きの単語帳を使い、耳と目の両方から学習する
- 単語をカテゴリーごとにまとめて覚える(例:学校関連、家族関連など)
- 熟語(take part in、look forward toなど)は丸ごと覚える
- 短い英文の中で単語を覚える(文脈と一緒に記憶する)
- 毎日少しずつ復習を続ける(一度に多くの単語を詰め込まない)
単語学習は一朝一夕ではできませんが、コツコツと継続することで確実に力がつきます。また、単に単語を暗記するだけでなく、実際に使ってみることも大切です。
例文を声に出して読んだり、その単語を使って自分で文を作ったりする練習も効果的です。
英検4級のよくある間違いと注意点
英検4級の試験では、いくつかの典型的な間違いや注意点があります。これらを事前に把握し、対策しておくことで、本番での失敗を防ぐことができます。
試験中の時間配分
リーディングセクション(35分間)では、問題数が多いため時間配分を誤りやすい傾向があります。特に大問4の長文読解に時間をかけすぎて、他の問題に十分な時間が取れなくなることがよくあります。
以下のような時間配分を意識すると良いでしょう。
- 大問1(短文の語句空所補充):15問×30秒 = 約7分
- 大問2(会話文の文空所補充):5問×30秒 = 約3分
- 大問3(日本文付き短文の語句整序):5問×1分 = 約5分
- 大問4(長文の内容一致選択):10問×2分 = 約20分
リスニングセクション(約30分間)は放送のペースで進むため、自分でコントロールすることはできませんが、常に集中して聞き続けることが重要です。
集中力が途切れると、取り返しがつかなくなってしまいます。
解答時の注意事項
英検4級では、解答用紙はマークシート形式です。以下の点に注意しましょう。
- 鉛筆で濃く、はっきりとマークする
- 解答を書き直す場合は、消しゴムでしっかり消す
- 試験終了直前に、未回答の問題がないか確認する
- 解答番号と問題番号が合っているか確認する
- 大問3の語句整序問題では、選んだ選択肢の組み合わせが実際に自然な英文になっているか確認する
また、リスニングセクションでは、問題用紙にメモを取りながら聞くことも効果的です。
特に数字や固有名詞などは聞き取りにくいので、メモをしておくと解答の手助けになります。
英検4級と英検5級の違い
英検4級と5級は、どちらも英語の基礎力を測る試験ですが、いくつかの重要な違いがあります。
これらの違いを理解することで、4級に向けての効果的な準備ができるようになります。
出題形式の違い
英検4級と5級の出題形式には、以下のような違いがあります。
リーディングセクション
- 5級:3つの大問(短文の語句空所補充、会話文の文空所補充、日本文付き短文の語句整序)
- 4級:5級の3つの大問に加えて、「長文の内容一致選択」が追加される
リスニングセクション
- 5級と4級は同じ3つの大問形式だが、4級ではリスニング全体の問題数が増え、より長い会話やパッセージが出題される
- 4級では補助イラストに頼れる問題が減少する
試験時間
- 5級:約55分(リーディング25分、リスニング約30分)
- 4級:約65分(リーディング35分、リスニング約30分)
スピーキングテスト
- どちらもオプションで受験可能だが、4級では内容がやや高度になる
難易度の差
英検4級は5級と比較して、以下のような点で難易度が上がります。
語彙レベル
- 5級:約300〜600語
- 4級:約600〜1,300語(約2倍の語彙量)
文法範囲
- 4級では過去・未来・比較の表現や不定詞・動名詞など、より高度な文法事項が出題される
長文読解
- 4級では新たに長文読解問題が加わり、より高いリーディング能力が求められる
合格率の違い
- 5級:約80%(2015年度データ)
- 4級:約70%(2015年度データ)
これらの違いから、英検5級から4級へのステップアップには、単語数の増加と長文読解への対応が特に重要であることがわかります。
5級に合格した後は、これらのポイントを意識して勉強を進めるとよいでしょう。
英検4級に関するよくある質問
英検4級に関して、受験者からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。疑問点の解消にお役立てください。
- 英検4級はどのくらいの期間で合格できますか?
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初めて英語を学ぶ場合は3〜6ヶ月程度の勉強期間が必要ですが、すでに中学1年生程度の英語力がある場合は、1〜2ヶ月の集中的な対策で合格できることが多いです。ただし、個人の英語力や学習環境によって大きく異なります。
- 英検4級は小学生でも受験できますか?
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はい、小学生でも受験可能です。実際に多くの小学校高学年の児童が受験しています。小学生の場合、語彙力の強化と基本的な文法の理解に重点を置いた学習が効果的です。
- 英検4級に合格すると、どのようなメリットがありますか?
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英検4級に合格することで、基礎的な英語力を証明できます。また、多くの中学校や高校では英語の内申点に加算されることがあります。さらに、次のステップである英検3級へのモチベーションにもなります。
- スピーキングテストは必ず受ける必要がありますか?
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いいえ、スピーキングテストは任意です。一次試験(リーディングとリスニング)の結果のみで合否が判定されます。ただし、英語を話す練習として受験することをおすすめします。
- 4級の試験ではどのような内容の問題が出題されますか?
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学校や家族、友達、買い物、スポーツなど、身近なトピックを題材にした問題が多く出題されます。中学1〜2年生レベルの基本的な文法や語彙を使った問題が中心です。
- 合格点はどのくらいですか?
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英検CSEスコア制度では、各技能(リーディング・リスニング)で60%以上の正答率が合格の目安となります。両方の技能でバランスよく得点する必要があります。
- 再受験する場合、どのくらいの期間を空ければよいですか?
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英検は年に3回実施されるので、次回の試験まで待つことになります。通常は約4ヶ月間隔で実施されます。不合格だった場合は、弱点を分析し、次回までに集中的に対策することをおすすめします。
まとめ

この記事では、英検4級の基本情報からレベル、試験内容、勉強法まで徹底的に解説してきました。英検4級は英語学習の登竜門として、多くの学習者が挑戦する重要な資格です。
最後に、記事のポイントをまとめておきましょう。
- 英検4級は「中学中級程度」のレベルで、簡単な英語の理解と表現能力が求められる
- 必要な単語数は約600〜1,300語で、中学1〜2年生の教科書レベルの語彙が中心
- 試験はリーディング(35分)とリスニング(約30分)の2セクションで構成され、スピーキングテストは任意
- 英検4級の合格率は約65〜70%で、年間約40万人が受験している
- 合格には各技能で60%以上の正答率が目安となる英検CSEスコア制度が採用されている
- 効果的な勉強法としては、単語学習、文法の基礎固め、過去問演習、長文読解の練習が重要
- 英検5級との主な違いは、長文読解問題の追加と語彙量の増加(約2倍)
- 試験では時間配分に注意し、全ての問題にバランスよく取り組むことが大切
英検4級は決して難しい試験ではありませんが、計画的な準備と継続的な学習が合格への鍵となります。この記事で紹介した内容を参考に、効率的に勉強を進めていただければ幸いです。
英語学習の第一歩として、ぜひ英検4級取得に挑戦してみてください。