TOEIC(トーイック)のスコアで600点というと、どのくらいのレベルなのか気になる方も多いでしょう。「就職活動や転職で必要」「とりあえず目標にしたい」という声をよく耳にします。
この記事では、TOEIC600点の実際のレベル感や、そのスコアを達成するために必要な勉強時間、そして英語初学者でも実践できる効果的な勉強方法について詳しく解説します。これからTOEIC学習を始める方はもちろん、現在500点前後でスコアアップを目指している方にも役立つ内容となっています。
TOEIC600点のレベルとは?その難易度を解説

TOEIC600点は、日本人受験者の「平均的なスコア」と言えるレベルです。TOEIC公式データによると、2021年度の平均スコアは611点、2022年度は608点、そして2023年度は612点となっています。最近の実施回でも610点前後で推移しており、日本人受験者の中では標準的なスコアといえるでしょう。
TOEIC運営団体であるIIBCが公開している「コミュニケーション能力レベル」によれば、600点はA~Eの5段階評価のうち、C程度に位置づけられています。これは「日常生活のニーズを満たし、限定された範囲内では業務上のコミュニケーションができる」レベルとされています。つまり、基本的な日常会話であれば要点を理解し、応答することができ、仕事においても簡単な連絡事項なら口頭やメールでやりとりできる程度の英語力です。
英検との比較ではどのレベル?
TOEIC600点を英検に換算すると、英検2級~準1級相当のレベルとなります。CEFRという国際的な語学レベルの指標では「B1」に相当し、これは「身近な話題について標準的な話し方であれば理解でき、その言語が話されている地域で起こりそうな事態に対処できる」能力を示しています。
英検2級は「高校卒業程度」のレベルとされていますので、高校で学んだ英語の知識をしっかり身につけていれば、TOEIC600点も十分に視野に入ってくるでしょう。

大学レベルで例えるとどのくらい?
TOEIC600点の難易度を大学レベルで例えると、偏差値約51程度に相当します。これは一般的に「日東駒専」(日本大学、東洋大学、駒澤大学、専修大学)レベルと言われることが多いです。
以下はTOEICスコアと大学レベルの対応表の一例です。
- 900点:偏差値68程度(早慶上智レベル)
- 800点:偏差値63程度(GMARCHレベル)
- 700点:偏差値57程度(成成明学獨國武レベル)
- 600点:偏差値51程度(日東駒専レベル)
ビジネスや就職活動でのTOEIC600点の評価
TOEIC600点は、就職活動や転職において「アピールできるレベル」と言えます。多くの企業では、TOEIC600点以上を持っていることを英語力の一定の基準としており、履歴書に記載できるスコアです。ただし、外資系企業や英語を日常的に使う職種では、より高いスコアが求められることもあります。
基本的には600点を取得していれば、「英語の基礎力がある」と評価され、社会的な信用を得ることができるでしょう。特に理系の大学院試験では、TOEIC600点があると加点される場合もあります。
TOEIC600点に必要な英語力と知識
TOEIC600点を達成するためには、どのくらいの英語力や知識が必要なのでしょうか。ここでは具体的に解説します。
必要な英単語数
TOEIC600点レベルに必要な英単語数は約5,000語と言われています。これは英検2級レベルに必要な単語数とほぼ同等です。また、大学入試でも4,000~6,000語程度の単語力が必要とされることから、高校卒業レベルの単語力があれば基礎としては十分と言えるでしょう。
現在のレベルが500点前後であれば、約1,000語程度の単語を追加で覚える必要があります。1日10単語ずつコツコツと増やしていくことで、確実に単語力を向上させることができます。
文法レベル
TOEIC600点取得に必要な文法レベルは、高校卒業程度です。中学英語の基礎がしっかりしていることはもちろん、高校で学ぶ文法事項(仮定法、関係詞、分詞構文など)の基本的な理解が必要です。
特にTOEICのPart 5(短文穴埋め問題)では文法知識が直接問われるため、基本的な文法ルールを正確に理解していることが重要です。英文法に自信がない場合は、まず中学・高校レベルの文法から復習することをおすすめします。
リスニングとリーディングの目標バランス
TOEIC600点を目指す場合、リスニングとリーディングのバランスも考える必要があります。600点を達成するには、全体で約60%の正答率が必要です。つまり200問中120問程度の正解が目安となります。
一般的に、リスニング(495点満点)で250~300点、リーディング(495点満点)で300~350点程度を目標にすると良いでしょう。ただし、得意・不得意に応じて、リスニングで点数を稼ぐかリーディングで点数を稼ぐかを戦略的に考えることも大切です。
TOEIC600点を取るために必要な勉強時間
TOEIC600点を達成するために必要な勉強時間は、現在の英語力や学習効率によって大きく異なります。ここでは、いくつかのケース別に勉強時間の目安を紹介します。
英語初心者からの場合
英語が本当に初心者レベル(TOEIC250点程度)から600点を目指す場合、700~950時間程度の学習時間が必要だと言われています。これは1日3時間の勉強を続けた場合、7~11ヶ月程度の期間に相当します。
英語の基礎がほとんどない状態からスタートする場合は、まず中学英語の文法から始め、徐々に高校レベルの内容に進むという段階的なアプローチが効果的です。長い道のりですが、コツコツと継続することで確実にスコアアップを図ることができます。
中学・高校英語の基礎がある場合
中学・高校の英語の基礎がある(TOEIC400点程度)状態から600点を目指す場合は、約450時間の学習が目安とされています。効率的な学習方法を取り入れれば、300時間程度でも達成可能でしょう。
これは平日5時間、休日6時間の勉強を続けた場合、2ヶ月程度で達成できる計算になります。ただし、個人差があるため、弱点に合わせた学習計画を立てることが重要です。
短期集中で目指す場合の現実的な時間
「1ヶ月で600点を取りたい」という短期集中型の目標設定の場合、1日6時間以上の勉強が必要になります。これは非常にハードなスケジュールですが、可能ではありません。
短期間で成果を出すためには、休日は一日中勉強に充てるなど、かなりの覚悟が必要です。また、効率的な学習方法と戦略的な問題の解き方を身につけることが極めて重要になってきます。
TOEIC600点を目指す効果的な勉強法
ここからは、TOEIC600点を達成するための具体的な勉強方法について解説します。英語初学者でも実践できる内容となっていますので、ぜひ参考にしてください。
まずは英文法から始める
英語初心者がTOEICの勉強を始める場合、最初に取り組むべきなのは「英文法」です。文法は英語学習の基礎であり、リスニングもリーディングも文法の理解が前提となります。
英文法の勉強は、自分のレベルに合わせて進めることが大切です。もし中学レベルの文法に不安がある場合は、そこから始めるべきです。恥ずかしいことではなく、むしろ基礎をしっかり固めることで、その後の学習効率が大幅に向上します。
ある程度文法の基礎がある場合は、TOEICのPart 5(文法問題)対策から始めるのが効果的です。Part 5は文法力が直接試される部分なので、ここで点数を取れるようになれば、全体のスコアアップにもつながります。
単語学習の効果的な方法
英文法の学習と並行して、単語学習も進めていきましょう。前述の通り、TOEIC600点レベルには約5,000語の単語力が必要です。
効果的な単語学習のポイントは以下の通りです。
- TOEIC頻出単語から優先的に覚える
- 1日の目標数(例:50~100語)を設定する
- 例文とともに覚えて、使い方を理解する
- 定期的に復習する(例:覚えた単語を1週間後、1ヶ月後に再確認)
- 隙間時間を活用して単語カードやアプリで学習する
単語は一度覚えてもすぐに忘れてしまうため、繰り返し学習することが重要です。特に重要な単語は5回以上、できれば10回以上繰り返し学習することをおすすめします。
リスニング力強化のコツ
リスニングは多くの人が苦手とする分野ですが、コツをつかめば効率よく上達することができます。
TOEIC600点レベルのリスニング力を身につけるためのコツは以下の通りです。
リスニングは毎日少しずつ継続することが大切です。通勤・通学時間などの隙間時間を活用して、英語を聞く習慣をつけましょう。
リーディング対策の効果的な方法
リーディングセクションでは、特にPart 7の長文読解が多くの人にとって難関となります。効率的にリーディング力を向上させるコツを紹介します。
- まずは短い文章から始め、徐々に長文に慣れていく
- スキミング(文章を素早く読んで概要をつかむ読み方)とスキャニング(特定の情報を探し出す読み方)の技術を身につける
- 分からない単語があっても、文脈から推測する練習をする
- 一文一文訳すのではなく、段落ごとの要点をつかむ練習をする
- 時間を計って読む練習をし、スピードと正確さのバランスを身につける
リーディングは語彙力と文法力の両方が問われるため、基礎固めが重要です。また、実際の試験では時間との戦いになるため、時間を意識した練習も取り入れましょう。
模擬試験の活用法
学習の進み具合を確認するためには、定期的に模擬試験を受けることが効果的です。模擬試験の活用法としては以下のポイントがあります。
- 実際の試験と同じ時間配分で解く
- 解答後は間違えた問題を徹底的に分析する
- 弱点パートを特定し、重点的に対策する
- 時間配分の戦略を立てる(例:得意なパートで確実に点数を取り、苦手なパートは効率的に時間を使う)
- 本番前には少なくとも3回は模擬試験を受ける
模擬試験は単なる実力確認ではなく、効果的な学習のための指針となります。間違えた問題から学ぶことで、同じ間違いを繰り返さないようにしましょう。
TOEIC600点を取るための具体的な学習計画
ここでは、TOEIC600点を目指すための具体的な学習計画を、期間別に紹介します。自分のペースやスケジュールに合わせて、参考にしてください。
1ヶ月プラン(短期集中型)
1ヶ月という短期間でTOEIC600点を目指す場合は、非常に集中的な学習が必要です。1日6時間以上の学習時間を確保しましょう。
- 英文法の基礎復習(中学・高校レベル)
- TOEIC頻出単語500語を覚える
- TOEICの試験形式に慣れるための模擬テスト1回
- TOEIC Part 5(文法問題)の集中対策
- 単語をさらに500語追加
- リスニングの基礎トレーニング(Part 1, 2中心)
- リーディングの長文読解練習(Part 7対策)
- 弱点パートの集中対策
- 模擬テスト2回目
- 総復習と弱点補強
- 時間配分の戦略確認
- 模擬テスト3回目
- 本番前日はリラックス
このプランは非常にハードですが、すでに基礎力がある人や、どうしても短期間で結果を出したい人向けです。
3ヶ月プラン(バランス型)
3ヶ月かけてじっくりとTOEIC600点を目指すプランです。1日2~3時間程度の学習を継続します。
- 英文法の基礎固め(1週間に2つのテーマを学習)
- 単語学習(1日20~30語のペース)
- TOEICの試験形式に慣れる
- パート別対策(各パートの攻略法を学ぶ)
- 単語学習の継続と復習
- 基本的な長文読解力の強化
- 模擬テスト1回目
- 弱点の集中対策
- 時間配分の練習
- 模擬テスト2~3回
- 総復習
3ヶ月プランでは、基礎をしっかり固めた上で、徐々に実践的な問題演習に移行します。バランスの取れた学習ができるでしょう。
6ヶ月プラン(初心者向け)
英語が苦手な方や、時間があまり取れない方向けの6ヶ月プランです。1日1~2時間程度の学習を継続します。
- 中学英語の文法を徹底復習
- 基本単語1000語を覚える
- 簡単なリスニング練習(日常会話レベル)
- 高校レベルの文法学習
- TOEIC形式の問題に慣れる
- 単語を追加で2000語程度覚える
- リスニング・リーディングの基礎トレーニング
- TOEIC各パートの攻略法を学ぶ
- 模擬テストを定期的に受ける
- 弱点の集中対策
- 本番を想定した時間配分の練習
6ヶ月プランでは、無理なく着実にスキルを積み上げていくことができます。特に英語の基礎がない方は、このようなじっくりとしたアプローチがおすすめです。
TOEIC600点が取れない人がやるべきこと
何度も試験を受けているのに600点が取れない、という方も多いと思います。ここでは、スコアが伸び悩んでいる方向けのアドバイスをご紹介します。
よくある間違いと対策
TOEIC学習で多くの人が陥りがちな間違いとその対策を紹介します。
- 基礎を飛ばして応用問題ばかり解いている
→ 中学・高校レベルの基礎英文法をしっかり復習しましょう。 - 単語を覚えても忘れてしまう
→ 反復学習と、例文とセットで覚える方法を試しましょう。 - リスニングで全て聞き取ろうとしている
→ 重要な情報(Who, What, When, Where, Why, How)に焦点を当てて聞きましょう。 - 時間配分がうまくいかない
→ 各パートごとに時間の目安を設定し、練習時から意識しましょう。 - 問題の解き方を知らない
→ TOEICの各パートには効率的な解き方があります。攻略法を学びましょう。
これらの間違いを認識し、適切な対策を取ることで、スコアアップが期待できます。
モチベーションを維持する方法
長期間の学習を続けるためには、モチベーションの維持も重要です。以下のような方法を試してみてください。
- 小さな目標を設定し、達成感を味わう(例:「今週は単語を100語覚える」など)
- 学習の記録をつけて、進捗を可視化する
- 学習仲間を作り、互いに励まし合う
- 自分へのご褒美システムを作る(例:「1週間続けたら好きなものを買う」など)
- 英語学習の楽しさを見つける(好きな映画や音楽を英語で楽しむなど)
モチベーションは学習の継続に不可欠です。自分に合った維持方法を見つけましょう。
TOEIC600点に関するよくある質問
ここでは、TOEIC600点に関してよく寄せられる質問にお答えします。
- TOEIC600点は就職活動で有利になりますか?
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はい、TOEIC600点は就職活動において有利になります。多くの企業では、TOEIC600点以上を「英語の基礎力がある」と評価する傾向があり、履歴書にアピールポイントとして記載することができます。特に国内企業であれば、600点あれば基本的な英語力があると判断されることが多いです。ただし、外資系企業や英語を日常的に使う職種では、700~800点以上が求められることもあります。
- TOEIC600点を取るのに必要な正答率はどのくらいですか?
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TOEIC600点を取るためには、全200問中約120問(約60%)の正答率が必要です。ただし、問題の難易度によって配点が異なるため、単純に「60%正解すれば600点」とは限りません。一般的には、リスニング(495点満点)で300点前後、リーディング(495点満点)で300点前後を目指すと良いでしょう。自分の得意なセクションで多く点数を取り、苦手なセクションをカバーする戦略も有効です。
- TOEIC600点と英検2級はどちらが難しいですか?
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難易度は個人の得意・不得意によって異なりますが、一般的にはほぼ同レベルと言われています。英検2級は「高校卒業程度」の英語力を測るテストで、TOEIC600点も同様に高校で学ぶ英語の基礎がしっかりしていれば取得可能なレベルです。
ただし、テストの形式や内容が異なります。英検には「スピーキング」や「ライティング」のセクションがあり、より総合的な英語力が求められます。一方、TOEICはリスニングとリーディングのみを測るテストで、より実務的なビジネス英語に焦点を当てています。どちらが難しいかは、自分の英語の得意分野によって変わってくるでしょう。
- 英語初心者でも1ヶ月でTOEIC600点は取れますか?
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完全な英語初心者が1ヶ月でTOEIC600点を取るのは非常に難しいと言わざるを得ません。しかし、以下のような条件が揃えば、可能性はあります。
- 高校レベルの英語の基礎知識がすでにある
- 1日6時間以上の勉強時間を確保できる
- 効率的な学習方法と戦略を身につけている
- 集中力と強い意志力がある
現実的には、中学・高校の英語の基礎がある方でも、2~3ヶ月程度の準備期間を設けることをおすすめします。無理なく着実にスキルを積み上げていくことが、長期的には効果的です。
- TOEIC600点に必要な単語数はどのくらいですか?
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TOEIC600点レベルに必要な単語数は約5,000語と言われています。これは英検2級レベルに必要な単語数とほぼ同等です。
ただし、単に単語の数を増やすだけでなく、TOEICでよく出題される単語(ビジネス、オフィス、旅行、広告など特定の分野の語彙)を優先的に覚えることが効率的です。また、単語の意味だけでなく、その使い方(動詞の場合は後ろにくる前置詞など)も一緒に覚えることが重要です。
まとめ

この記事では、TOEIC600点のレベルや必要な勉強時間、効果的な学習方法について詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめておきます。
- TOEIC600点は日本人受験者の平均レベルであり、英検2級程度の英語力に相当する
- 600点取得には約5,000語の単語力と高校卒業程度の文法力が必要
- 英語初心者からの場合、700~950時間程度の学習時間が目安となる
- 効果的な勉強法としては、まず英文法の基礎を固め、単語学習と並行して進めることが重要
- リスニングとリーディングそれぞれの攻略法を身につけ、弱点を補強する戦略が効果的
- 模擬テストを活用して実践力を養い、時間配分の戦略を立てることが大切
- 学習の継続にはモチベーション維持も重要である
TOEIC600点は決して低いレベルではなく、社会的にも評価される一つの基準です。この記事で紹介した方法を参考に、効率的な学習を続ければ、必ず達成できる目標です。焦らず着実に、自分のペースで英語力を高めていきましょう。

